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後味の悪い話

2141/2 :2014/07/20(日)13:41:05 ID:GmGbipYF1
高橋克彦「色々な世界」

事故で二ヶ月余り入院した私は、退院後昼夜逆転の引きこもり生活を送っている。
食欲が失せて体重は10kg減った。
息子の嫁が世話をしてくれるが、私はなるべく顔を見ないようにして、嫁が用意した食事も離れで一人で食べている。
そんな私を、旧友の上田が酒の席に誘い出してくれた。どうせ嫁の差し金だろうが、心配してくれるのはありがたい。

上田がせっつくので、私は渋々真相を話した。気が触れたと思われるのは嫌だが、しかたがない。

事故後、大げさに言えば世界が変わった。
見舞いに来た息子夫婦や孫が、それどころか旧友の上田もまるっきり別人に見えて、私は激しく混乱した。
私の知る上田は生っ白い丸顔のはずだが、事故後は浅黒く細面の伊達男に見える。
顔色が悪く気の利かない鬱陶しい女だと酷評していた嫁は、健康的に日焼けしてすらりと痩せて鼻の高い、理想の美女に見える。私は病室で勃起した。
見舞い客の顔がわからず混乱する私を、一時的な記憶喪失だと医者は断じたが、それは誤りだと私にはわかっている。
二ヶ月も寝たきりだったので、考察する時間はたっぷりとあったのだ。

私の目には先天的に異常があり、物の見え方が上田たち「健常者」とは違っていたのだ。
その異常が事故で頭を打った事で「解消」されたが、何しろ先天的な「異常」なので私にはそれが「正常」なのだ、「異常」を「失った」私は今も混乱している。

今の私には、晴れた空は夕焼け空のように赤く、逆に夕焼けは変に青い。
ステーキは緑色、カレーライスは水色だ。
病人の青白い顔色が健康的に、健康なはずの見舞い客は今にも死にそうな土気色に見える。
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