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後味の悪い話

1511/2 :2014/06/19(木)04:19:59 ID:0oXAPG1UU
キノの旅シリーズ 「城壁のない国」 時雨沢恵一

バイクに乗ってあてどなく旅を続けるキノ(10代半ば)は、ある時遊牧民の集落に行き会った。
遊牧民の人たちは「旅人がうちの集落に来るのは珍しい」とキノを歓迎してくれた。
だが、一人だけ雰囲気の違う灰色の目の男は、キノを離れたところから緊張を孕んた目で
じっと見ていた。

遊牧民の大人たちは皆パイプを吸っていた。
子供でもパイプを咥えている子がいたが、中は空だった。パイプを吸えるのは、
大人としての義務と責任を果たしている者だけなのだそうだ。

二日ほど集落に泊めてもらい、キノがまた旅に戻ろうとすると、
遊牧民は盛大なお別れの宴を開いてくれた。
大きな天幕に遊牧民たちが集まり、キノは緑色のどろりとしたお茶(?)を勧められた。
キノはじっとお茶を見て「ボクはこれは飲まないほうがよさそうです」と答えると、
ひとりの男が棒でキノの頭を殴って失神させようとした。
キノは攻撃を避けて天幕を支えている支柱を銃で打ち抜き、混乱に乗じて逃げ出した。

逃げ出してすぐ、灰色の目の男(以下灰目)にあった。
灰目はキノを自分の天幕に連れて行って匿った。

遊牧民の集落では、旅人が来ると合格が不合格かを決める。不合格なら旅人は殺され、
荷物は奪われる。
合格の場合、緑色のどろりとしたお茶を飲まされる。そのお茶は、パイプに詰めるのと
同じ草からできている。草は麻薬だ。パイプはともかくお茶にすると、免疫のない人間なら
三日は寝込む。そして寝込んでいるあいだも草の煙でいぶされ続けて、
目を覚ました頃には立派な中毒患者になっている。
中毒患者になると、1時間もパイプを吸わないでいると激しい頭痛を感じる。
半日で幻覚が見え、二日で死に至る。そして草は特定の場所にしか生えておらず、
場所は遊牧民しか知らない。
死ぬか、遊牧民として一生を生きるかの選択しかない。
灰目もそんな風にして遊牧民に取り込まれたよそ者だった。
遊牧民として生きることを選んだ直後は、自分の運命を呪い続けたが、献身的に世話を
してくれた娘と親しくなり、やがて結婚した。娘との暮らしは、灰目の人生の中で
最も幸福な時間だった。
そして娘は妊娠。出産はひどい難産の果ての死産で、娘は子供を埋めない体になった。
遊牧民にとって子供の産めない女は不要な存在だ、と集落の長は娘に死を与えた。
娘は静かに自分の運命を受け入れて毒を飲んだ。
灰目がキノを助けたのは、キノが娘に少し似ていたからだった。
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