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後味の悪い話

1412/2 :2014/06/15(日)01:48:56 ID:JZqIZ4Us6
次の日もサクラは街を案内してくれた。
教会では結婚式をやっていた。新郎新婦は10代後半と随分若かった。この国でも
大抵は20代後半で結婚するので、随分と早婚なカップルだった。
この国では新郎新婦は小さな袋をたくさん投げる風習がある。その袋の中には一つだけ
種を入れた袋がいくつか混ざっている。種を入れた袋の数が、二人が欲しがっている
子供の数だそうだ。そして種を持って翌朝を迎えた人が、次に幸せな結婚ができるのだそうだ。
新婦が「私たちは子供が5人欲しいです!」と叫んで袋をまき始めた。
キノは見事種入りの袋をゲットし、サクラにあげた。


二日目の夕食で、キノとサクラがすっかり意気投合した様子を見た宿屋夫婦は、
「キノさん、よかったらサクラを一緒に旅に連れて行ってくれないだろうか。
外の世界を見ることは、サクラにとってとてもいい勉強になると思う」と頼んだ。
キノは真剣に考えこんだが、サクラはあっさり「わたし、お父さんおかあさんと
いっしょに暮らしたい」と言ったので、この話はなくなった。

三日目の午後、キノは別れを惜しみながら旅立った。
サクラは弁当を二つも(夕食用と次の日の朝食用)持たせてくれた。
国を出るときはたくさんの人たちが見送ってくれた。最後まで優しい国だった。


国を出たキノはバイクでしばらく走り、暗くなると野営の準備をして弁当を食べた。
とても美味しかった。

深夜、キノは異様な気配を感じて目を覚ました。そして火砕流が優しい国を飲み込むのを見た。

翌朝、朝食用の弁当を食べようとして、宿屋母からの手紙が入っていることに気がついた。
手紙には、以下のことが書かれていた。
一ヶ月前から火砕流に国が飲み込まれるのは分かっていた。でも国を捨てられなかったので、
国と運命を共にすることを選んだ。そして国のことを知っている人間、つまりこの国を
訪れた旅人に自分たちのことを覚えていて欲しかった。
でも自分たちは今まで旅人たちにひどい扱いばかりをしていた。自分たちについて
旅人が覚えていてくれることは、嫌なことばかりだ。
次にくる旅人には優しくしよう、と思ったものの悪評が広がっていたために旅人は来ない。
だからキノが来てくれてとても嬉しかった。この国で少しでもいい思い出を
持って欲しかった。
娘(サクラ)はまだ子供なので、火砕流のことは教えていない。
キノとサクラが仲良くなったのを見て、サクラをキノに託せないかと思ったが、
サクラは私たちと一緒にいたいと言ってくれたので、サクラも連れて行く。

手紙を読んだキノは、「自分がサクラを連れて行くといえば助けることができたのに」と
ショックを受ける。
しかし手紙はもう一通、サクラからのもあった。
手紙には結婚式でもらった種がついていて
「これは私が持っていても仕方がないのでお返しします」とあった。

キノは朝食を食べ、旅立つ準備をした。最後にもう一度火砕流に沈んだ国を見つめ、
バイクに乗ってどこかへ走り去っていった。
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