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創作意欲くん「よし! じゃあバリバリ書くぞ!」 ぼく「うん!!」

1名無しさん@おーぷん:2016/12/26(月)11:56:45 ID:IAD()

ぼく「なになに……この新人賞、原稿用紙300枚くらいは必要らしいね」

創作意欲くん「300枚くらい簡単だ! 頑張れ!」

ぼく「頑張るぞ!」

創作意欲くん「まずはテーマを決めるぞ!」

ぼく「決めた!」

創作意欲くん「キャラクターもプロットも決めるぞ!」

ぼく「決めた!!」

創作意欲くん「よし順調だ! 書き始めるぞ!!」

ぼく「おおおおおおスラスラ書けていく!! すごいや!」
2名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)11:57:02 ID:IAD()

 ◇


ぼく「わぁ! あっという間に50枚分も書けちゃった!
  創作意欲くん! 君のサポートのおかげだよ!」

創作意欲くん「なあに、君が頑張ったからさ!」

ぼく「残りは250枚!
  キリも良いし、今まで書いた分をきっちり推敲してみるよ!」

創作意欲くん「うん! 頑張って!」

ぼく「…………ふむふむ。
  …………あれ? なんかここ、違和感があるような……」

創作意欲くん「…………」

ぼく「ねぇ創作意欲くん。ここの流れちょっと辻褄があってないよね。
  この主人公、ここでこんなセリフを――」

創作意欲くん「――――ごめん!!」ダッ

ぼく「えっ! どこに行くの? 創作意欲くん!」

創作意欲くん「またね!!」
3名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)11:57:13 ID:IAD()

 ◇


ぼく「……創作意欲くんが居なくなってから、もう一週間……。
  全然書けていないし、いったいどうすれば……」

スランプくん「――よう」

ぼく「え!? き、君はっ!」

スランプくん「おい。見せろよその、お前の小説を」グイッ

ぼく「うわぁ! 何するんだ!」

スランプくん「ふむふむ…………なるほど、こりゃゴミだな。
  今更改善しようがねぇ。さっさと諦めな」

ぼく「そ、そんな」

スランプくん「だいたいこんなもの書いてどうする?
  原稿用紙300枚?
  書いたら勝手にプロになれるとか思ってんじゃねぇだろうな?」

ぼく「そんなことは……」
4名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)11:57:22 ID:IAD()

スランプくん「仮に全部書ききって、それで応募して……1000を超える応募の中からお前のものが選ばれるとでも?」

ぼく「確かに、難しいけど……。
  でも、やってみないと分からないじゃないか!」

スランプくん「本当に、そう思っているのか?」

ぼく「ほ、本当だよ」

スランプくん「本当に、本当に、そう思っているのか?」

ぼく「もちろ――」

スランプくん「それは嘘だ」

ぼく「――」

スランプくん「とても陳腐で、安っぽい、嘘だ。
  自分自身を騙すための嘘だ。
  お前は全然、そんなこと思っちゃいない」
5名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)11:57:32 ID:IAD()

ぼく「――」

スランプくん「どうせ書いても駄目だと思ってる。
  選ばれるわけないと思ってる。
  だけどそんな気持ちじゃ駄目だと、必死に誤魔化している。……違うか?」

ぼく「ぼ、ぼくは……」

スランプくん「分かったら、さっさと諦めろ。
  時間の無駄だ。お前はまだ若いんだから、他にもやりたいことは色々あるだろう」

ぼく「……」
6名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)11:57:43 ID:IAD()

 ◇


ぼく「……」カタカタ

スランプくん「……ん?
  おいおい……お前、何、書こうとしてるんだよ」

ぼく「……」カタカタ

スランプくん「昨日言っただろ?
  そんなことやっても無駄だって、どうせ意味なんて無いって」

ぼく「……」カタカタ

スランプくん「……ちっ。
  強情なやつだ。いいさ。どうせすぐに身動きもできなくなる」
7名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)11:57:52 ID:IAD()

 ◇


スランプくん「……さて、無駄な足掻きを始めてから、一月が経ったわけだが」

ぼく「……無駄じゃない」

スランプくん「今、原稿用紙150枚か。
  全体の半分だな。無駄かどうかは置いといて、あれからよく100枚も書いたとは思うぜ」

ぼく「……」

スランプくん「だけど、そろそろ本格的にお前も気づいてきたはずだ。
  このままじゃ駄目だと。どうやってもうまくいかないと」

ぼく「……」

スランプくん「一ヶ月で100枚だ。つまり一日たったの3枚。
  どうしてこんなにお前の筆が遅いか分かるか?
  どうしてそんなに迷うのか、どうしてそんなに苦しいのか、分かるか?」
8名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)11:58:01 ID:IAD()

ぼく「……」

スランプくん「迷いながら書くのは、そこに真実が無いからだ。
  自分で正しいかどうかも分からない戯言なんだ。だからお前はこうも苦しく感じてるんだ」

ぼく「…………うるさい……」

スランプくん「お前の書く文章は本物じゃない。
  中身が篭っていない。ただ取り繕っただけのハリボテにすぎない」

ぼく「うるさい!! いい加減に黙れよ!!」

スランプくん「怒るのは、図星を突かれた証拠だよ。
  自分を誤魔化し、読む人間をも誤魔化し。
  そうしてできた小説に、価値が無いとお前は分かっている。だから怒るんだ」

ぼく「違う! 僕が書いてるのはそんなものじゃない!!」

スランプくん「なんとでも言えばいい。どうせすぐに分かる」
9名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)11:58:11 ID:IAD()

 ◇


ぼく「…………」

スランプくん「……原稿用紙換算で、200枚。
  残り100枚。三分の一しか残ってないわけだが……」

ぼく「……………………」

スランプくん「ついに、限界が来たみたいだな」

ぼく「……そんなことは……」

スランプくん「もうお前にも見えているはずだ。
  最初から俺が言っていた、明確な壁が」

ぼく「……」

スランプくん「50枚でお前が書けなくなったあの時、既にうっすらと見えていただろう。
  それが今は、はっきりと、目の前に立ちはだかっているはずだ。
  巨大な壁が」
10名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)11:58:19 ID:IAD()

ぼく「……壁なんて、ないよ……」

スランプくん「もう、そうやって強がるのも無理だろう。
  必死で目を逸らそうにも、嫌でも視界に入る」

ぼく「……」

スランプくん「お前の限界だよ。
  物語のプロットはできてるんだろ? テーマも、キャラクターも、全部準備してから書き始めた。
  それで止まる原因があるとすれば、それはお前の能力不足以外には無い。
  もう誤魔化せない」

ぼく「…………そうかも、しれないけど」

スランプくん「けど?」

ぼく「それでも、書くよ。ここまで来たんだから」
11名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)11:58:29 ID:IAD()

 ◇


ぼく「……」

スランプくん「――で、書くんじゃ、無かったのか?」

ぼく「……書くよ、書くけど……」

スランプくん「止まってからもう一週間が経つぞ?
  それにお前、今日はまだテキストエディタを開いてさえいないじゃねぇか」

ぼく「今日は調子が悪いんだ。無理に書いちゃダメだ」

スランプくん「もう、自分の書いた文章を見るのも嫌なんだろ?」

ぼく「だから、調子が悪いだけだってば」

スランプくん「書くことが嫌か? 書くために読み返すのも嫌か?」

ぼく「風邪と同じだ。無理に動いても悪化するだけ。
  時間を置いて、様子を見ないと」

スランプくん「そうやって、言い訳だと自分で分かっている理由を言うのは、嫌じゃないのか?」

ぼく「言い訳なんかじゃない!!」

スランプくん「自分を誤魔化すのも、そろそろ諦めたほうが良いと思うぜ」
12名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)11:58:38 ID:IAD()

 ◇


ぼく「……」

スランプくん「……」

ぼく「…………」

スランプくん「…………正直、お前はよくやったと思うよ」

ぼく「……」

スランプくん「原稿用紙換算で200枚。たった200枚。だけど、200枚だ。
  多いとは言えないが、かといって簡単に書ける量でもない」

ぼく「……」

スランプくん「……小説を書きたいなら、これ以外にも書けばいい。
  今回は失敗した。だけど、次はうまくいくかもしれない。
  でも、ここできちんと諦めておかないと、次に行くことさえできない」

ぼく「……でも……」
13名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)11:58:47 ID:IAD()

スランプくん「諦めるのは悪いことじゃない。
  失敗したと思ったら切り替えていくのも必要なんだ」

ぼく「…………そうかな……?」

スランプくん「そうだよ。
  失敗した経験は次に活かせばいい。次はもう少し良くなるかもしれない」

ぼく「……次に、活かす……」

スランプくん「そのために区切りをつけるんだ。
  失敗を引きずっていたら、次には行けない」

ぼく「……………………そうかも、しれない……」
14名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)11:58:56 ID:IAD()

スランプくん「わかったか?」

ぼく「……うん……」

スランプくん「だったら、どうすればいいか分かるな?」

ぼく「…………うん……これは、ゴミ箱に……」

スランプくん「そうだ」

ぼく「……次を書くために……」

スランプくん「ああ」

ぼく「捨てるんだ」カチッ

スランプくん「よし。それでいい」
15名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)11:59:06 ID:IAD()

 ◇


ぼく「…………」

ぼく「……ゴミ箱に、入れた途端……」

ぼく「…………」

ぼく「……スランプくんも、居なくなっちゃった。
  創作意欲くんも、もう随分と見てないし……」

ぼく「…………」

ぼく「……ぼくは……」
16名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)11:59:16 ID:IAD()

 ◇


ぼく「…………」

スランプくん「……で、なんでまた書こうとしてんだ?」

ぼく「……やっぱりダメなんだ。
  ちゃんと、書き上げないと」

スランプくん「それが、もう修復不可能な駄作でも?」

ぼく「……うん」
17名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)11:59:25 ID:IAD()

スランプくん「どうして?」

ぼく「ぼくが書かないと、これは完成しないんだ」

スランプくん「……」

ぼく「こうして捨てたら、全部このままだ。
  誰かが代わりに書いてくれるわけじゃない。
  完成させられるのはぼくだけだ」

スランプくん「……それが?」

ぼく「……それが、少しだけ寂しく思っただけだ。
  それだけだよ。深い意味なんて無い」

スランプくん「……」
18名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)11:59:37 ID:IAD()

 ◇


ぼく「……おえっ」

スランプくん「……まったく……」

ぼく「……おええぇえぇえええっ!!」ビチャビチャ

スランプくん「お前、メンタルが弱すぎるだろう。
  書くのが嫌で吐くってどうなってんだ」

ぼく「はぁ……はぁ……」

スランプくん「そんなに書くのが嫌なら、やめればいいだろ」

ぼく「……それは、できないってば……」
19名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)11:59:45 ID:IAD()

 ◇


ぼく「……あと少し……あと少しだ……」

スランプくん「……往生際が悪いな……」
20名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)11:59:54 ID:IAD()

 ◇


ぼく「……」カタカタ

スランプくん「……」

ぼく「…………」カタカタ

スランプくん「……」

ぼく「……」カタ…

スランプくん「…………どうした? また吐き気か?」

ぼく「…………いや……」

スランプくん「……?」

ぼく「……完成だ」

スランプくん「え?」
21名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)12:00:08 ID:IAD()

ぼく「……完成したんだ。
  ……完成したんだよ!
  最後まで書き上げたんだ!!」

スランプくん「――」

ぼく「ほら、見てよ!! 書いたよ!!
  最後まで書けたんだ!! 書ききったんだ!!」

スランプくん「……そうか」

ぼく「文章は確かにひどいし、物語もぐちゃぐちゃだけど……。
  それでも書ききったんだ!」

スランプくん「……書けたのか……」

ぼく「うん! 書けたよ!」

スランプくん「……それは、良かったな」

ぼく「うん!!」
22名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)12:00:19 ID:IAD()

 ◇


ぼく「……新人賞の締め切りはもうすぐだから、急がないと……。
  まずはこれを印刷してっと」カチカチッ

スランプくん「……」

ぼく「…………」

スランプくん「……なぁ」

ぼく「ん?」

スランプくん「いつか、俺は言ったよな。
  『迷いながら書くのは、そこに真実が無いからだ』って……」

ぼく「うん……言われたね」

スランプくん「……嘘を言ったつもりは、無かったが……。
  今思えば、あれは、間違っていたかも知れない」

ぼく「え?」
23名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)12:00:28 ID:IAD()

スランプくん「真実のある文章なんて、最初から存在しない。
  迷いながら書くのは。書くことが苦しいのは。
  ただ、自分の言葉で書こうとしているからだ」

ぼく「……」

スランプくん「借り物の言葉で書いている時は、苦しくなんて無い。迷いも無い。
  自分がそれを真実だと思っているだけ。実際には上っ面だけの空洞だ。
  今までに自身が触れた言葉の、ただの模倣。贋作だ」

ぼく「……」

スランプくん「お前の書いたこれは、まとまりもなく、小説としては疑いようもなく駄作だ。
  だけど、これは確かに、お前が書いたものだ。
  取り繕っただけのハリボテなんかじゃなかった。
  ……そこだけは、少し、訂正させてもらう」
24名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)12:00:38 ID:IAD()

 ◇


ぼく「それじゃ、これをポストに入れてっと」ガシャン

スランプくん「……出してもどうせ賞は取れねぇぞ」

ぼく「あはは。分かってるよ。これはただの区切り」

スランプくん「そうか……」

ぼく「……」

スランプくん「……」

ぼく「……ぼくが、こうして……。
  途中で投げ出しそうになりながら、苦しみながらも最後まで書けたのは、
  スランプくんのおかげかもしれない」

スランプくん「はぁ?」

ぼく「何となく、今思った」
25名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)12:00:48 ID:IAD()

スランプくん「何言ってんだ。逆だろう」

ぼく「いや、あってるよ。
  ……創作意欲くんが居なくなって、最初は困ったけど……
  多分、スランプくんも創作意欲くんも、同じなんだね」

スランプくん「……意味が分かんねぇよ」

ぼく「何となく、思っただけだよ」
26名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)12:00:57 ID:IAD()






ぼく「……さて、印刷して、投稿して、区切りもついたし」

スランプくん「何だ?」

ぼく「さっさと帰って、次を書くか!」

スランプくん「あん? 懲りないやつだな」

ぼく「次はもっと上手く書けるよ。
  君は安心して横でダメ出しをしてくれればいい」

スランプくん「まったく、何を言ってんだか」

ぼく「さあ、早く帰ろう!」


 ――終わり――
27名無しさん@おーぷん :2016/12/26(月)12:01:48 ID:IAD()
ちょっと大げさだけど、何かを書いてる時って、頭の中はこんな感じで大騒ぎだよね……

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創作意欲くん「よし! じゃあバリバリ書くぞ!」 ぼく「うん!!」
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