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まったりSS書くからキャラ貸してくれ【砂塵の章】

1菩薩◆XuHlfjDjx0ab:2015/11/15(日)19:08:48 ID:uEN()
キャラの名前・性別・容姿・能力・その他諸々をご自由にお書きください
世界観は中世ヨーロッパ、中央アジア、インド、日本etc…で、大まかに人間VS魔族(モンスター)という対立構造になっています
人口の98%が戦士という対魔族専用村を拠点に魔族を狩ってゆく話なので、モンスターの設定も勿論大歓迎
※1 現在キャラ募集は凍結しております
※2 強制sageがかかったので移転してきました

まったりSS書くからキャラ貸してくれ
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1434382932/l30

まったりSS書くからキャラ貸してくれ【砂塵の章】(VIP版)
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1437707800/l50

まったりSS物語wiki
http://wikiwiki.jp/bokutotu/?FrontPage
2菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2015/11/15(日)19:18:48 ID:uEN()
これまでの簡単な流れ
かいつまんでますが大体こんな感じです

魔族長テングリカガンとサンバドル村No.1ギルド・Lunaticとの決戦から一週間。
記憶喪失の少年・ハルシャはギルドを結成し、ひとまずサンバドル村に落ちつくことを決めた。
ギルドメンバーであるジークから闘技大会について聞いたハルシャは、仲間と共に試合観戦に臨む。
麗しのギルドと謳われた、サンバドル村第2位のHarmoniaと闘うのは果たしてどこのチームか。
選手が続々と華々しく入場し、遂に試合のゴングが鳴らされた!
3菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2015/11/15(日)21:38:18 ID:F4I
大陸の中央部にあるサンバドル村はまさに文明の十字路であり、旅人や商人が日夜絶えず往来している。
特に今日はサンバドル村において第二位のギルド・Harmoniaが闘技場に出場するといことで、観戦チケットを求めて戦士の波が村役場に押し寄せていた。
鎧のぶつかる金属音と熱気に包まれた人だかりを、スルメ倶楽部の面々は遠くからぼんやりと眺めていた。
彼らの手には試合観戦のチケットが握られている。
忍耐力のある足利義輝が夜通し並んで、朝方やっと獲得したのだ。
上裸のハゲが食後のスルメを噛みつつ、義輝の肩に手を置く。

ハゲスルメマン「いやぁ義輝君、徹夜してまでチケットを購入してくれて感謝感激雨あられだ。これでトップクラスの戦いを間近で学ぶことができるのだからね」

フレイア「スルメを噛みながら話をすると口の内容物がチラチラ見えて、気色悪いニャ。因みに義輝はどっちが勝つと思うニャ? Harmoniaと対戦相手と」

猫娘からそう問われると、足利義輝は急に拳を胸に当て天を仰ぎながら嘆息した。
それは豪傑が初めて見せた、心の奥に閉ざされた迷いであった。

足利義輝「メリーシャたそが死なぬならそれでいい。しかし、大名同士の抗争とあらばそれを調停するのが将軍の務め。黙って見過ごすなど、たとえ太陽が西から昇ろうとも到底できぬ。ああ、いかにすべきや」

ハゲスルメマン「はっはっは! 義輝君は若い女の子に目がないな。それならバザールに行きたまえ。この祭りに便乗して、多くの店がメリーシャ君のグッズを販売しているだろう」

足利義輝「ハゲ殿のお誘い、誠にありがたく存ずるが余はこの場を離れるわけにはいかぬ。もしメリーシャたその晴れ舞台に遅れてしまったら、余は切腹しても贖いきれぬ大罪を犯すこととなる」

アーシャ「なんか今日の義輝さん、珍しく饒舌ですよね」

クラリス「好きな女に会えるから興奮してるんだろ。たそ付けとかキモくてキモくてかける言葉もねぇよもう」

ディグノー&ユグドラシル戦での怪我からようやく復帰したクラリス含めて、スルメ倶楽部は今日も平常運転であった。
4菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2015/11/15(日)21:38:52 ID:F4I
電気の切れかけた蛍光灯が辺りを仄暗く照らすなか、その腰の曲がった老人は壁についている制御盤のボタンを押した。
目の前に広がるまるで棺桶のような形をした機械が稼働音と共に振動し始め、白い煙を隙間から噴出する。
老人の瞳は虚ろで、まるで同じことを何十年も、何百年も繰り返して来たような時代を達観するような目でその光景を眺めた。
これで、やっと十万人か。
薄汚れた白衣の胸ポケットから煙草を取り出すと、老人はライターで火を点け煙を吐いた。
机の上には助手が集めた古代の機械や文化についての本が山積みになり、今にも崩れ落ちてきそうだ。
たかがキャラ一人の設定を考えるだけで、ここまでの労力と研究が必要だとは思わなんだ。

老人「毎日毎日たった一人で残りかすの処理をしていると、頭がおかしくなってしまいそうじゃ。せめて話し相手がいれば良いのだが、ペッパーは古代の文献を探しに図書館へ外出中だからな」

老人「……外は瘴気でもう人が通れないほど毒されておると言うのに。聞き分けの悪い助手で本当に困るわい」

老人「楽園……か。そんなものが、本当にあれば良いがのう」

そう呟きながら老人は仕事を再開するため、近くの台に横たわっている少女の身体を抱き上げた。
彼女の華奢な身体は、氷のように冷えて固くなっていた。

老人「さて、あと五万人近くも残っているのじゃ。永遠の命を与えるために、もうひと頑張りせねばならんな」
5菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2015/11/15(日)21:39:09 ID:F4I
喨々と喇叭の音が高らかに鳴り響き、銅鑼が地を揺るがした。
割れる様な拍手が後に続く。
円形の闘技場に座る観客数万人が一斉に拍手をするのだから、その騒がしさと言ったら竜の咆哮のそれに匹敵する。
途中で拍手をするのを止め思わず耳を塞ぐ者、トイレに行くだの果実酒を買ってくるだの嘘をつき騒音から一時撤退する者。
何がともあれ、コロッセオはいつもより人で賑わっていた。
なにせ、今日はあのHarmoniaが選手として出場するのだから。
スルメ倶楽部は足利義輝の努力もあって観戦チケットを得ることができたが、彼らはまだギルドランクが低いので円形闘技場の中でも最後列の席になってしまった。
最前列には村長や異国の賓客、ランク一桁代の有名ギルドが座る。
落胆するメンバーを励ますように、ハゲスルメマンがスルメの旨味を含んだ唾を飛び散らせながら笑った。

ハゲスルメマン「ハッハッハ! 人生は山あり谷あり、こんなこともあろうさ。しかし、元Lunaticであった吾輩が何故一般市民と同じ最後列に座らなくてはならんのだぁ……」

フレイア「そんな小声にならなくても聞こえてるニャよ。あ、あとこれ渡しとくニャ。ミント味の噛みタバコ」

アーシャ「フレイアさんって用意周到ですね。歩く大気汚染を公共の場でいかにして抑制するか、よく考えてらっしゃいまず」

ハゲスルメマン「おいおい、普段のアーシャ君はそんな畏まっていないぞ! もっとほんわかした天然の娘だったぞ!」

クラリス「おいハゲ。やけに見覚えのある奴が、こっちに歩いてきてんぞー」

魔女帽をかぶった美少女が指差した方向を見ると、頬を赤く染めたハルシャが仲間を引き連れてこちらへ上がってきている。
ハルシャ組もまた、スルメ倶楽部と同じく最近結成されたばかりの新生ギルドだ。
彼の能力は未知数だがこれから先、何かと協力し切磋琢磨する良きライバルになるかもしれない。
そう思うと共に観戦するのも、悪くないだろう。
少年は緋色の髪を揺らしてどっかりとハゲスルメマンの隣に深く腰かけた。

ハルシャ「やぁやぁ、スルメ倶楽部の皆さんもここに」

ルーミア「あ、げんしじんさんですがらったよー」

ジークの傍にいたエルフの少女がハゲスルメマンを指差した。
以前、北の森での激戦で全裸になったハゲスルメマン達が教会に瞬間移動してきたことがあった。
その少し破廉恥な事件を、彼女は未だに覚えているのだ。

ジーク「こら失礼だろう、ルーミア。ところで、どうしてスルメ倶楽部の人が闘技場に?」

フレイア「そりゃ、あの強さと美しさを兼ね備えたギルドが出場するんニャからね。対戦相手がどこになるか少し気になるニャ」

アーシャ「もしかしたら、Lunaticかもしれませんね」

クラリス「は? ないない。あいつらネズミみたいに山に引きこもってるんだろ? 来ないっつーの絶対」
6菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2015/11/15(日)21:39:28 ID:F4I
観客の歓声が俄かに大きくなった。
ちょうどハルシャ達の向かい側にある、赤いカーペットの敷かれた豪華な観覧席に黒いモズクのような物体が現れ、緩慢な足取りで席に向かっている。
その光景を見たハゲスルメマンの口元に淡白な笑みが浮かんだ。
ショ・クモーウ君よ、今日も君の髪は長いな。
口内にまで巻き込まれたその黒い長髪は吾輩への当てつけか? 毛根の死滅している吾輩よりも自分が人間的に勝っている、豊かであると暗に誇示しているというのか?
鼻毛や脛毛を頭に植毛して炎症を起こした吾輩よりも、自分の方が精神的にゆとりがあるとでも言いたいのだろうか?
村長はハゲの心中など察することなく、開会の挨拶を済ませた。
次に賓客として招かれたハーゲル国の大商人が挨拶をし、遂に選手の入場が始まった。
暗い入口の中から姿を見せたのは、高笑いと共にセミロングの銀髪を靡かせたHarmoniaの頭領・メリーシャであった。
周囲の歓声が更に大きくなり、会場全体を小刻みに震撼させる。
観客席の至る所で彼女の名を呼ぶ声が聞こえる。
クラリスの隣に座っていた足利義輝も、思わず立ち上がった。
今日の令嬢戦士は一味違う。
彼女のチャームポイントでもある薔薇を模した鎧を身にまとっていないのだ。
猫娘が率直な感想を漏らした。

フレイア「桃色のスリムな衣装ニャね。それもへそ出しの。胸の大きさがはっきり分かって何だかいやらしいニャ」

足利義輝「何故あのような破廉恥な衣装なのだ。あれでは全裸も同様……ブフッ」

ハゲスルメマン「村長の趣味よ。村長ことショ・クモーウ君はLunaticにいた頃から極度のへそ出しフェチであった。だから、彼が主催する闘技大会では出場するギルドにへそ出しの制服を作っておく事が、義務付けられたのだよ」

ジーク「ったく、酷ぇ話だ。ならオレ達が出場する時はなんだ、ルーミアにもへそ出しの制服を着せなきゃならんのか」

ハゲスルメマン「うむ、その通りだ」

うなだれるジークの頬を、ルーミアが指でつんつんとつついた。
老若男女構わずに出場するギルドはへそ出しの服を着用せねばならない。
ハルシャは手を叩いて大喜びする村長を見ながら、その裏に隠された狂気を感じ取り背筋に悪寒が走った。
再び会場が盛り上がり、今度はサラの名前が連呼された。
ハルシャも面識のある、緋色の髪を持つ女剣士はへそ出しの格好で水晶剣を太陽に照らしながら入場した。
セレス「……サラさんはスタイルが良いですね」

ハルシャ「ひょっとして、羨ましいとか思ってたりする?」

セレス「下手なこと言うと、麻痺ナイフ刺しますからね?」

サラの紹介も終わったところで、次に出てきたのは巨大な鉄槌を肩に担いだ少女であった。
頭だけイヌイットのような毛皮のフードをかぶり、首から下はメリーシャやサラと同じスリムなへそ出し衣装だ。
あまりの滑稽さに声援に混じって爆笑の波も湧き起った。
7菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2015/11/15(日)21:40:22 ID:F4I
ハンマーを担いだ少女は不満げに頬を膨らませた。
彼女がハンマーを一振りすると、先端から火花が飛び散った。
どうやら火薬を詰めているらしい。

サルサ「もう、みんなサルサが入ってきた時にどうして笑うのかな! ぷんぷん!」

メリーシャ「私達がいくら言っても、フードをお取りにならないんですもの。そんな奇妙な格好では笑われるのも当然ですわ」

???「そうだそうだ、サルサは昔っからお洒落のセンスが皆無だったからなぁ」

メリーシャの指摘に、低い男の声が被さった。
はきはきした爽やかな声ではなく、まるで酔っ払いのごとき呂律の回らぬ眠たげな声である。
水を打ったように会場が静まり返り、観客の視線は選手の出てくる入口へと一斉に注がれた。
女しかいないギルドと思っていたハルシャも、男の存在という予想外の展開に驚き身を乗り出す。
ガラガラと車輪の回る音の後に、銀色の台車が背後から現れた。
台車の上には大股を開き、酒をあおる銀髪の青年がいる。
車を押しているのは黒髪の小柄な少女だ。
彼女はクラリスと同じく、魔女帽を頭にかぶっていた。

ジャコモ「このジャコモ・フライルート様さえいれば闘技場なんぞ全勝間違いなしだっての。あー、仕事後の酒がうめぇのは当然だが、仕事前に酒を飲んでスカッとするのも悪くねぇ」

ジャコモ「さーてと、今日はどんなカワイ子ちゃんが来るかなー」

観客席は罵声と怒号で充満し、青年に向けて食いかけのパンやミカンなどが四方八方から投げつけられた。
ハルシャも、ジャコモという青年のふてぶてしさに怒りだけでなく驚嘆すら覚えた。
へそ出し衣装を着た酔っ払いの男など、誰も求めてはいない。
よくHarmoniaの一員として顔を出せたものだ。
しかし周囲とは違い、ハゲスルメマンだけは顎に手を置き何かを考えている様子であった。

ハルシャ「どうした? 何かを考えているようだが。あの酔っ払いに何か思うところでもあるのかい?」

ハゲスルメマン「ハルシャ君、彼は確かにふてぶてしい。しかし、彼こそがHarmoniaの茎であることを覚えておきたまえ」

ハルシャ「茎? 茎とは……」

ハゲスルメマン「花を支える為には茎が必要だろう。つまり、彼がHarmoniaにとって必要不可欠な存在……それ程の実力者である、ということさ」

ハルシャが何かを言い返そうとした時、突然アーシャが立ち上がり両手を振って叫んだ。

アーシャ「ウィンディ! 私よ、あなたの親友のアーシャだよ! 他のギルドに行っても上手くやってるみたいで良かった! 今日の試合頑張ってね!」

台車を押している魔女帽の少女に対して放った声援らしい。
アーシャは座り、ため息をつくと独り言ちるように言った。

アーシャ「……ウェンディは私の親友でした。イーフィと同じく、三人で同じギルドに入ろうって誓った中だったんです。でも、三人とも離れちゃって、イーフィは私のことなんか忘れちゃって」

アーシャの目尻に、微かに涙が浮かんでいるのをハゲスルメマンは見逃さなかった。
8菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2015/11/15(日)21:40:47 ID:F4I
闘技場のステージには、白黒のまだら模様をした塔が無数に林の如くそびえている。
崖から花崗岩を切り出して作られた代物で、身を隠したり楯として用いたり頂上に登り敵の動向を確認するなど、用途は使う者によって様々である。
メリーシャは正面の塔に歩み寄ると、不意にその姿を消した。
次の瞬間、塔の頂上に令嬢戦士が現れた。
細剣の先を相手側の入場口へ、道を示すかのように向けている。
そんな彼女を、Harmoniaの一同は不思議そうに見上げていた。

サルサ「精神統一してるのかな。サルサもやりたいよ!」

ジャコモ「何言ってんだ。お前がやったらどうせ、最後まで我慢できずに塔をブッ壊しちまうだろ」

酒気を帯びた真っ赤の顔で語るジャコモに、サラは半ば呆れたような表情で肩をすくめた。
この男、帯刀こそはしているが闘う気はまるで無いらしい。
可愛い娘を見るためだけなら、かえって足手まといとなる。
サラが一発喝を入れてやろうとした時、メリーシャが目の前に瞬間移動してきた。

メリーシャ「来ましたわよ。今回のお相手が」

薄暗い入場口に、何やら沢山のシルエットが見える。
細長い兎の耳が七つ、風に煽られたススキのようにゆらゆらと揺れている。
最初に太陽の下に姿を晒したのは、紫色のストレートヘアーを持つ背の高いバニーガールであった。
切り揃えられた前髪で目元を隠し、ヒールを響かせての登場だ。
さながらモデルの如き戦士の登場に拍手喝采が巻き起こる。
しかし、彼らを知るHarmoniaのメンバーだけは心中穏やかでなかった。
サラが珍しく青ざめた顔で隣に佇むメリーシャに囁く。

サラ「メリーシャ、あいつら……」

メリーシャ「分かっていますわ。バニー・レインボー。Lunaticも全滅させたことのあるサンバドル村第三位のギルド……。意地の悪い村長様のことですからきっととんでもない相手が来ると思っていましたけれど、やっぱりでしたわね」

サラ「どうする? 奴らに今のあたしらで勝てるのかい?」

メリーシャ「勝てるもなにも、勝たなくてはならないのですのよ。先代マスターのために、Harmoniaの名を貶めることは断じてあってはなりませんわ。よくって?」

ジャコモ「ヘッ、中々骨のありそうなカワイ子ちゃんだな。ほら、さっさと後のバニーも見せろよ。酒が尽きかけてんだ」

ジャコモが愉快そうに酒の瓶をガンガン鳴らす。
紫のバニーは入場口を振り返り、抑揚の無い声で呼びかけた。

ラベンダー「私の後に誰も来ていない……。ピンク、化粧はいいから早く出てきなさい。お客様と対戦相手の方に迷惑よ」
9菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2015/11/15(日)21:41:04 ID:F4I
ラベンダーがそう呼びかけても、入り口は寂として誰も出てくる気配はない。
代わりに乱立する塔の背後より耳だけがひょこん、ひょこんと飛び出してきた。
闘いの準備が整ったとの知らせである。
ラベンダーとメリーシャはステージの中央まで歩くと互いに固く手を握りあった。
両者、試合において全力を尽くすという宣誓の意味合いを持つ。
メリーシャは相手を見上げ、口元に女神のごとき微笑を湛えた。
紫のバニーもそれに応じて小首を傾げる。

メリーシャ「盗賊あがりの無頼ギルドが、格調高い闘技大会に何用ですの? むざむざ醜態を晒しに来たとも思えませんけれど」

ラベンダー「ふふふ、一週間前Lunaticの屋敷から尻尾巻いて逃げ帰ったお方が何を仰ります。バニー・レインボーは今、血に飢えている。死を賜るのはそちらでは?」

風は凪ぎ、嵐の前の静けさが訪れた。
覇気と覇気の衝突。
戦士らは最初の挨拶で互いの力量を測る。
少しでも目をそらそうなら、敵より自分が下位の存在だと教えているようなものだ。
不意に何かが弾けたかのようにメリーシャが後方へ飛び退き、レイピアを両手に構えた。

メリーシャ「サラ様は右、サルサ様は左! ウェンディ様は中距離からの援助。一羽たりとも生かしてはなりませんわよ!」

ラベンダーも人間技とは思えないほどの跳躍力を見せ、空中で華麗に宙返りをしながら遠く背後にある塔の頂上へと降り立った。

ラベンダー「ロックオン完了、行きなさい妹達よ! 第一位のLunaticを打ち破った私達なら、第二位など取るに足らぬ!」

これが試合開始の合図であった。
10菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2015/11/15(日)21:41:17 ID:F4I
右隣でサラが水晶剣を肩に乗せ、左隣でサルサがハンマーをぶん回し疾駆するのが気配でしっかりと伝わる。
早速ウェンディの放つ魔弾が相手側の塔を打ち砕き、黒煙を濛々と巻き上げる。
ジャコモの姿は全く見えない。
ステージの端で呑んだくれているのか。
何がともあれ、時は来た。
新生Harumoniaにとって初の対人戦である。
恥ずかしい真似は絶対に見せられない。
メリーシャが走り出そうとしたその刹那。

コーラル「おねーちゃーん! ぎんいろのかみのおねーちゃーん! わたしこーらる! ななじょ! あついおもいつたえにきたー!」

火だるまになった幼子が、両手を広げて真正面から突っ込んでくる。
幼子が駆け寄るだけなら実に微笑ましい光景なのだが、身体にまとわりつく烈火と手に持つ鋸のせいで、その微笑ましさが殺伐さで相殺されている。
火だるまの幼女が鋸を叩きつけてきた。
二本のレイピアで斬撃を受け止めたメリーシャは、小さな体躯に似合わぬ重い一撃に内心驚愕していた。
振動が手から肘まで一気に駆け抜ける感覚。
彼女は瞬間移動を使用し、七女バニー・コーラルの後ろをとった。
コーラルの第二撃は見事に空を斬る。

メリーシャ「オホホ! 動きが遅いですわよ! それでも元盗賊ですの? Lunaticのイーフィ様や田中様はあなたの比ではありませんでしたわ!」

コーラル「うんしょ! うんしょ!」

火炎の幼女は懸命にメリーシャの剣撃を受け止めたり避けていたが、分が悪しと思ったか急にあらぬ方向へ逃げ出した。
口ほどにもない七女である。
11菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2015/11/15(日)21:41:34 ID:F4I
コーラルは急に立ち止まり、天を仰いで声を張り上げた。
予想外の声量にギョッとして、少し距離を置くメリーシャ。
魔族長やその懐刀であるバルドとの激戦をくぐり抜けた彼女であったが、未知の敵に対してはやはり一度どんな行動をするか見定めなければならない。
彼女は確かに高慢ちきだが、その高慢さに見合った実力を持つ。
ただ剣を振り回して敵陣に突っ込んでいくだけの無謀な愚者ではないのだ。

コーラル「しとらすおねーちゃーん! いつもの『あれ』ぶちかますよ!」

シトラス「合点承知のすけりんこ!」

コーラルの呼びかけに応えてどこからともなく飛び降りてきたのは、五女のバニー・シトラスであった。
金色のおさげを前転の遠心力で鞭よろしく振り回しながら落下してきたシトラスは、コンクリート製の地面に難なく着地し、炎なぞ気にもとめず妹を肩車した。

シトラス「私とコーラル、二人の力が合わさったシトラル砲は天下無双の雷火砲なのだぁ!」

コーラル「なのだぁ!」

メリーシャ「……えっ」

しかし、何も起こらない。

冷たい風がひょうと通り抜け、メリーシャは警戒していた自分を恥じた。
結局、自分は幼児の遊びに踊らされていただけだったのか。
羞恥心と共に怒りもこみ上げてきた。
12菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2015/11/15(日)21:42:37 ID:F4I
メリーシャ「サーカスにしては、つまらない出し物ですわね。子供のごっこ遊びに付き合っている暇はありませんわ」

メリーシャ「こちらは時間がありませんの。一瞬で喉笛を掻き切って差し上げます」

メリーシャの姿が消え、息をつかせる間もなくバニーガールらの目前へ剣を突き出した。
電灯が明滅するかの如く出たり消えたりを繰り返す彼女だけでも驚愕に値するが、更に観客達を驚かせたのは二人がメリーシャの攻撃を全てかわしていることだった。
まるでメリーシャがどこに出現するか先読みしている様に、剣先を華麗に避けていく。
彼女は再び踊らされることとなった。

シトラス「何かもう飽きたかなー」

コーラル「わたしもあきた! えへ!」

シトラス「つまんないよねー。ノリ悪いよねー。デキの悪い玩具なんていらなーい」

コーラル「ぶちかます? ぶちかます?」

シトラス「おーっし、いくよ! スリー・ツー・ワン」

シトラス・コーラル「ふぁいや!」

瞬間移動でメリーシャが現れたタイミングを狙い、二人のうさ耳から熱線と稲妻が一直線にほとばしった。
熱線と言っても、ビル一つ蒸発させるほどの巨大な熱線である。
回避しようにも間に合わない。
熱線はメリーシャをいとも容易に飲み込み、遠くの岩塔を半円状に抉り取るとそのまま空の彼方へ消えていった。
二人はハイタッチの後に手を取りあって、強敵の排除に成功したことを祝った。

シトラス「わーい!ラベンダーお姉ちゃんに褒めてもらえるよ! 頭撫でてもらうの楽しみだなぁ……」

コーラル「こーらるがさきになでてもらうんだよ! おねーちゃんはあとね!」

シトラス「やだ! 私の方が先だもん! 妹風情が調子に乗るな!」

シトラスは落ちていた一本のレイピアを取り上げると、容赦なく叩き折った。

シトラス「これで良し、と」
13菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2015/11/15(日)21:42:52 ID:F4I
ラベンダーに報告しようと駆けだした二人だったが、頭を背後から強くわし掴まれ、仰向けに転んでしまった。
太陽の光によって顔は見えない。
しかし、それが熱線と雷撃で始末したはずの令嬢戦士であることを二人は感覚で悟っていた。
動悸が激しくなり、両脚から力が抜ける。
メリーシャの瞬間移動能力は、シトラスとコーラルの想像力を遥かに凌駕していた。
レイピアを一本わざと落としたのは、油断を誘い気づかれないよう接近するためだったのか。

メリーシャ「……せっかく晴れ舞台だからと、念入りに髪を手入れしてまいりましたのに」

神がかった回避の代償として、彼女の美しい銀髪は見事に焼け焦げ、煙と異臭を放っていた。
シトラスとコーラルは顔を見合わせ、色を失い震え上がった。
哀れな二羽の兎は薔薇の、一番鋭い棘に触れてしまったのだ。

メリーシャ「さぁて、行儀の悪いお子様に罰を与えなくてはなりませんわね」

戦意を喪失した二羽の兎を、メリーシャは乱暴に岩塔の硬い壁に押し付け、レイピアをそれぞれ左胸に背中から突き通した。
レイピアは岩塔の内部まで貫き、シトラスとコーラルはまさに昆虫標本のような具合のまま息絶え、光の粒子となり四散したのであった。

コーラル「ふんだ! ほかのおねーちゃんたちがだまってないもん!」

斃したはずの者の声が聞こえる。
声の方向に顔を向けると、シトラスとコーラルが巨大なモズクを挟んで頬を膨らましている姿が目に入った。
どうやら中央に控えるモズク、いや村長であるショ・クモーウが蘇生したようだ。
まだHarmoniaのメンバーが一人もいないことを認め、メリーシャは安堵のため息をついた。

メリーシャ「今の所、こちらが二点リードですわ。一度に二人を始末できたのは大きいですわね」

メリーシャ「ですが、まだあちらは五人も残っております。油断は大敵、しっかり援護しなくては」

壁から柄のあるレイピアを一本引き抜くと、メリーシャは再び駆け出した。
彼女は未だ、ラベンダーの能力に気がついていない。
そして、本当に恐るべき敵が誰かということにも。
14菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2015/11/15(日)21:43:04 ID:F4I
太陽の容赦ない照りつけにより、闘技場のステージは焼け石のごとく暑くなった。
それに比例して、戦士達の闘いもますます熱さを増してゆく。
サラは噴き出す汗に全身を濡らしながら、刃を交えている敵に戦慄していた。
高い身長とピンク色のウェーブがかった長髪が目立つ、化粧の派手な女だ。
ふざけた格好や態度とは裏腹に、恐ろしく剣の腕が立つ。
先ほど斬られた脇腹を片手で押さえ、サラは呻いた。
浅手ではあるが、こちらは相手に一太刀も浴びせていないのだ。
このままでは確実に押し負ける。
血の滴る刀を回し、ピンク髪のバニーガールはおどけた調子で言った。

ピンク「あらあら〜? もうおしまい? お姉さん退屈してるのよねぇ」

サラ「ふん。あんたいくつよ」

ピンク「え? 25だけどぉ?」

サラ「ふふっ、あたしは26だ。残念だったね、”お嬢ちゃん”!」
15菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2015/11/15(日)21:43:49 ID:F4I
菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2015/11/04(水)22:13:03 ID:Bzm 巨大な魔力を秘めた水晶剣がうなり、ピンクの頭上に振り下ろされる。
刀を横にして受け止めたピンクは、剣撃の重さに思わず膝をついた。
水晶剣を防いでいる彼女の腹に、強烈な蹴りが二、三度入る。
普通の人間ならまだしも、歴戦の勇者の全力蹴りを鎧もない剥き出しの腹に、これでもかというほど喰らったのだ。
血の混じった唾液を垂らし、それでもなおピンクは苦悶の表情を一切見せなかった。

ピンク「……やるじゃん。お姉さんビックリしちゃったわ」

ピンク「でも、まだまだね」

直後、引っ張られる様な強い衝撃が加わり、サラの身体は見事に吹き飛ばされていた。
一番前列の観客席に放り込まれたサラは、魂の抜けた様な表情で両隣に座る上位ギルドメンバーに会釈をした。
ありえない、たとえ相手がサイキッカーだとしても、人を一人吹き飛ばすには相当の集中力と体力がいる。
腹を何度も蹴られた状態では、超能力など夢のまた夢のはずだ。
今度は見えない手に胸ぐらを掴まれ、ピンクの元に引き戻された。
全身が思うように動かない。

ピンク「ねぇ、おばさん。お姉さんとかくれんぼしな〜い? お姉さんここでじっとしてるからさぁ」

サラ「敵に背を向けることなどできるか!」

ピンク「違うよぉ、かくれんぼだってばぁ。お姉さんが百を数える間に頑張って隠れるんだよ〜? 百数えたら……」



ピンク「分かってるわよねぇ?」ニタァリ
16名無しさん@おーぷん :2015/11/16(月)21:42:12 ID:XJM
VIPから引っ越し?
17菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2015/11/16(月)23:42:42 ID:ul0()
>>16
強制sageがかかっちゃって
18名無しさん@おーぷん :2015/11/16(月)23:43:36 ID:XJM
相変わらず文章上手いですなあ
頑張ってください
19菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2015/11/17(火)00:02:54 ID:L08()
ありがとう
頑張りますm(_ _)m
20シモン◆qECGVNv88M :2015/11/17(火)19:10:53 ID:Q2x
引っ越して来たのかww
頑張って!
21シモン◆qECGVNv88M :2015/11/17(火)19:57:49 ID:Q2x
(=゚ω゚)ノおいらも再開した。
いつかどこかの本屋で一緒にサイン会しようや
22菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2015/11/17(火)23:22:11 ID:yp8
>>21
ありがとう(*´▽`*)
二人で切磋琢磨していきましょう!
そちらも頑張って!(^o^)丿
23名無しさん@おーぷん :2015/11/24(火)01:25:24 ID:TUO
待ってるよ
24アルケミ :2015/11/25(水)23:35:06 ID:gcT
頑張って下さい
25名無しさん@おーぷん :2015/12/01(火)01:15:37 ID:0Dp
もう書かないの?(´・ω・`)
26名無しさん@おーぷん :2015/12/01(火)19:25:52 ID:Ns7
ここに来ると落ちない安心感からかみんな更新ペースが落ちるんだよ
下手したら半月に一度とか
27名無しさん@おーぷん :2015/12/01(火)23:33:48 ID:RAX
こんな所で書くあほらしさに気づいたんだろうな
投稿サイトに書くならともかく
ツイッターにも書いてる人は何百何千といてそっちでお話してても楽しいし
28菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2015/12/02(水)00:28:25 ID:H9z()
まさに>>26
そろそろ書かないとマズいm(_ _)m
まだ見てくれてる人がいることに感謝せんと
29名無しさん@おーぷん :2015/12/07(月)23:11:25 ID:tvZ
(´・ω・`)
30シモン◆qECGVNv88M :2015/12/09(水)20:21:35 ID:hYE
(´-`)
31名無しさん@おーぷん :2015/12/10(木)12:57:23 ID:oQ8

32名無しさん@おーぷん :2015/12/10(木)17:09:08 ID:XFl
しょうがないよ
自分だって思い詰まらないで何ヵ月も文章書き続けるなんて出来そうにないし…
33名無しさん@おーぷん :2015/12/11(金)22:27:38 ID:bfI
まあ確かに他人の作ったキャラじゃ思い入れはないかもなあ
自分自身の小説ならキャラも自分が愛着持って作ったキャラだから
話を完結させたいというモチベーションにはなるだろうけど
あと思ったのがやっぱりVIPは落ちる恐怖があるから嫌がおうにも
定期的に書かざるをえない状況が逆に締め切りを課せられた感じで
読者側からすれば結果的に良かった
締め切りの心配がなく書けるときにどうぞ状態のここじゃそりゃエタるよ
34名無しさん@おーぷん :2015/12/12(土)21:23:35 ID:v6D

35名無しさん@おーぷん :2015/12/12(土)21:42:38 ID:jia
まあ菩薩の旦那は今受験生だからある意味しゃーないとは思う
ただ受験控えてる時に始めちゃったのはちょっと計画性がなかったかな
36名無しさん@おーぷん :2015/12/13(日)14:55:08 ID:rdV
俺も受験生のはずなのに何で毎日更新してるんだろうと不思議に思ってた
ただ、恐らく進学校の優等生だろうな
37名無しさん@おーぷん :2015/12/14(月)23:58:25 ID:Eev
しゃーない
数ヶ月のんびり待つかな
38菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2015/12/20(日)23:29:17 ID:dyi
再び見えない手に突き飛ばされた。
自分の身体が宙に浮き、天と地が回転しながら落ちていく。
戦の玄人であるはずの彼女が、ふざけた格好の遊び人に弄ばれている。
剣の腕ならば絶対に負けないはずなのに。
サラが落ちた場所には既に先客がいた。
ハンマ―使いの少女……サルサだ。

サルサ「わー! なんかあいつヤバい! ヤバいよ! いっつもサルサの先回りしてくるんだもん!」

サルサ「絶対に予知能力あるよ! サルサ達の進行方向を予知する能力!」

彼女は傷だらけの顔をサラに向けると、勢い良くまくしたてた。
よほど痛めつけられてきたらしい。
サラの肩を揺さぶりながら、しきりに前方を指差している。
ゆらり、と影の如く現れたのは青いおかっぱ頭のバニーガール。
髪の色と同じその瞳は、氷のような冷徹さを湛えている。
感情のない機械。
三女であるバニー・シアンに相応しい言葉は、まさにそれであった。

シアン「ラベンダーお姉様の期待に応えるため、わたくしができることはただ一つ……」

シアン「敵の排除。それだけです」

シアンがロッドを振り上げると、先についている魔石へ会場の水分が吸い込まれ始めた。
ステージは岩と砂だらけで、水など一滴も見当たらない。
では、どこから水を吸収しているのか。

ハルシャ「ヴォッ……ヴォイ! 俺の芽玉ジュースがあああ!」

ハゲスルメマン「のわああああ! 吾輩のスルメジュースがあああ!」

セレス「二人ともなんて物飲んで、ってひべべべ! 私のヨダレがあああ!」

観客の持つジュース、ヨダレさえも魔石に吸い取られてゆく。
全ての混合物が四方八方から、細いアーチの如くロッドへ繋がる。
汚物を魔力に変換した杖を、シアンは二人へと差し向けた。

シアン「上位魔法・ダイダルウェーブ。いきます」ギュウウン

サラ「サルサ、あたしはやることがある。もう少し持ちこたえてくれないか」

サルサ「やることって? サルサが頑張る価値のあることなのー?」

サラ「ラベンダーを殺りに行く。あたしの予想が正しければ、奴だ」

サラ「あたしもピンクと闘った時、あんたと同じ違和感を感じたんだ。何回もね」

サルサ「へー、先回りの指示を与えてるのはラベンダーなの?」

サラ「確証は持てないけどね。まぁあんたはちょっと頑張っていてくれ、すぐに戻る」ダッ
39菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2015/12/20(日)23:30:46 ID:dyi
遅れて申し訳ないです(´・ω・`)
受験が佳境に入った……ってのは都合の良い言い訳か
頑張る
40菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2015/12/20(日)23:37:23 ID:dyi
闘技場編が長引いている


気がする
41名無しさん@おーぷん :2015/12/21(月)16:22:43 ID:9np
無理はしなくていいので…
42名無しさん@おーぷん :2016/01/03(日)22:08:05 ID:XaW
久々に来たら更新されてるやん!
43菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/01/03(日)22:48:03 ID:BVj
久々の更新でキャラや展開がどんなんだったか忘れかけとる(´・ω・`)
急いで最初から読み返して記憶を取り戻し中
44シモン◆qECGVNv88M :2016/01/05(火)20:43:04 ID:JlR
頑張れ(´Д` )
45菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/01/08(金)22:21:55 ID:7pD()
ラベンダー「右……左……違うわ、そっちの柱に隠れてる……」

周囲より頭一つ抜けた石柱の頂上に、長女ラベンダーは坐していた。
脳内で瞬時に敵の進行方向を予想し、どこから襲撃すれば最もダメージを与えられるか、迷いなく弾きだす。
彼女の予想が外れたことは一度もない。
そしてうさ耳を模した発信機から、地図や敵の情報を妹達へ送るのだ。
彼女らが先回りできるのは、ひとえに長女が進むべき道を示してくれるからであった。

ピンク「うふん、今日も冴えてますわね。お姉様のあ・そ・こ」

ラベンダー「変な表現はやめなさい。それよりあなた、Harmoniaを殲滅しなくてよろしいの? あなたの実力なら全員を相手取るくらい容易いはずよ」

ピンク「それがね、来るのよ。かくれんぼの下手なおばさんが一匹」

ラベンダー「あら、確かに私の脳内地図にもこちらへ向かっている点があるわ。これかしら?……女剣士・サラね」

ピンク「脳内なんて分かるわけないじゃないのよぉ。お姉様たら、冗談お上手ッ!」

ラベンダー「ふむ」

ラベンダー「ピンク、あなたは闘技場の隅で固まっている点を潰しに行きなさい」

ピンク「えッそんな奴いるの?」

ラベンダー「もうオレンジが交戦状態にあるけど、あの子は回復魔法しかできないわ」

ラベンダー「ついでに連れ戻してきなさい。それが姉の役目よ」

ピンク「えッえッでもでも」

ラベンダー「あの女剣士のことなら心配しないで。既に手は打ってある。あなたはオレンジを救うことだけに全力を注ぐこと。いい? 理解できた?」

ピンク「……お姉様が言うなら仕方ないわね。ピンクさん、一回だけ我慢するわぁんふうぅ」

ラベンダー「とっとと行け、あなたがいると目立つのよ」

肩をすくめてピンクは姉の所を離れた。
しかし、気になることがある。
オレンジは攻撃手段を持っていないはずなのに、何故まだ交戦中なのか。
貧弱な妹が、珍しく頑張っている。
加勢せずして何がレインボーか。
全速力で空中を移動しながら、ピンクは鼻息荒く呟いた。

ピンク「むふん、待ってなさいよ。ピンクお姉さんが懲らしめてあげるからね!」

試合開始から十分。
未だHarmoniaに苦戦の色は見られない。
46名無しさん@おーぷん :2016/01/09(土)08:16:00 ID:JAk
更新期たたあああああ!!
47名無しさん@おーぷん :2016/01/09(土)15:41:28 ID:TMh
更新されてて嬉しい
48名無しさん@おーぷん :2016/01/16(土)09:07:54 ID:Iqv
センター試験ですな、頑張っくだされ
49菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/01/16(土)21:57:21 ID:9Ud
やっとセンターの自己採点終わった~
世界史97で歓喜するも国語が167で思ったより取れていない
筆記が149、リスニングが28と英語勢は振るわなかった
センターで明治とか青山とか狙ってたけど無理っぽいな
国語とリスニングがもう少し取れてれば……
一般で頑張りますm(__)m
それからこちらの方も
50名無しさん@おーぷん :2016/01/17(日)00:09:44 ID:xqx
頑張れ頑張れ
51菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/01/18(月)22:13:36 ID:QhX()
次女に指示を与えたラベンダーは、前髪で隠れている目を静かに閉じた。
暗闇に蛍光色の地図が展開し、敵がどの位置にいるか、色彩豊かな点で表示される。
サラが着々とこちらに迫っている。
彼女は剣の技倆において、サンバドル村で一位、二位を争う実力者だ。
にも関わらず、なぜピンクをオレンジの支援へと回したのか。
闘技場の端で動かない点を見て、ラベンダーは忌々しげに舌打ちをした。
奴が来た、来てしまった。
彼女が最も恐れる、常識が通用しない相手。
いるかいないかでガラリと戦況が変わる、最強のトリックスター。

ラベンダー「ジャコモ……フライルート……! 滅多に集団行動しないくせに、どうして今日に限って来たのかしら。奴とまとも渡り合えるのは、ピンクしかいないのに」

すぐ近くで爆発音が轟いた。
シアンと交戦中であるハンマー使いの娘に、強力な魔導師が加勢している。
登場時にジャコモの台車を後ろから押していた、あの無表情の娘か。

ライム「姉貴、いつまで周りを飛び回ってりゃいいのさ」

四女のライムがポニーテールを揺らしながら、不満げに呟いた。
先ほどから彼女は姉の命令で、開始直後から空中を飛行している。
風を操るライムならば突風で敵を吹き飛ばすなど朝飯前だが、非情な姉はその役目を同じ技が可能なピンクに任せたのだ。


ラベンダー「あなたは私の身を守る矛でもあり、盾でもあるのよ。試合が終わるまで、永久に飛んでいなさい」

ライム「ざっけんなハゲ。あたしは姉貴の道具じゃねーっての。あと数分したら、クソゴミ共の駆除に行ってくるからな」

ラベンダー「ハゲだとかクソゴミだとか、乱暴な言葉を使うのやめなさい。姉妹全体のイメージが悪くなるわ」

ラベンダー「やめなさい。これは命令よ」

ライム「いちいち命令ばっかすんじゃねー! もういいわ、あたしどっか行くわ。姉貴はそこで殺されるのを待ってな」

ラベンダー「あっ! ちょっと……待ちなさい! 地図送ってやらないわよ!」

ラベンダーの叫びも空しく、緑色のポニーテールは塔の下へ消えた。
入れ替わりに、何かが頂上に登ってくる。
見えずとも、気配と地図で分かる。
剣を鞘走らせる音。
小石が落ちていく。
単なる風の悪戯か、或いは。

ラベンダー「ついに来たわね、サラ」

サラ「逃げ場はない。あんたを斬る」

ラベンダー「ふふ、残念」
52名無しさん@おーぷん :2016/01/18(月)23:13:56 ID:JEk
更新ん来た!
これでかつる!
53名無しさん@おーぷん :2016/01/22(金)22:25:24 ID:J1h
おお更新してた
54名無しさん@おーぷん :2016/02/03(水)01:30:47 ID:gmZ
更新きてた!
55名無しさん@おーぷん :2016/02/06(土)10:06:46 ID:TrV


56名無しさん@おーぷん :2016/02/07(日)23:37:32 ID:Jxi
待ってるで
57名無しさん@おーぷん :2016/02/09(火)19:20:12 ID:hWG
今まさに受験の本番の時期やから今月中の更新はないやろな
58名無しさん@おーぷん :2016/02/19(金)23:23:45 ID:QNc


てる
59菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/02/20(土)21:48:05 ID:5za
長らくお待たせいたしましたm(__)m
やっと終わった
今からちょっと書きためして続けていきたいと思う
キャラの作者さんとかまだいるのかなぁ(;^ω^)
60名無しさん@おーぷん :2016/02/20(土)22:16:13 ID:E4E
あまり聞いたらあかんのかもしれんがその…受験の方は良い結果だったんか?
61名無しさん@おーぷん :2016/02/20(土)22:54:58 ID:law
>>60
マーチほぼ全勝
あとは早稲田待ち
もうイージーモードですわ(`・ω・´)
62菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/02/20(土)22:56:39 ID:law
あとは怠けようとする自らとの闘いですね(-_-;)
63名無しさん@おーぷん :2016/02/20(土)23:16:43 ID:E4E
>>61
じゃあとりあえず菩薩たん勝利確定ってことでええんかな?よかったよかった
ほな後は待たされたぶんバンバン続き書いてくれること期待してるでぇ(ゲス顔)
64菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/02/20(土)23:22:39 ID:BOv
>>63
ひええ
頑張ります( ;∀;)
65菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/02/21(日)00:22:43 ID:PsH
透明状態を解除してラベンダーの背後に立つ。
水晶剣の刃を彼女の首に押し当て、グッと力を込める。
このまま喉笛をかき切ってしまえば、済む話だ。
しかし、どうにも気になることがある。
ラベンダーの不敵な笑みにサラは動きを止めた。
自分の死を目前にして、不思議なほど冷静なのである。
策を有しているからなのか、それともハッタリか。
多分、強がっているだけだろう。
敵と自分しかいない絶体絶命の窮地で、策を有する余裕などあるはずがない。
サラは油断した。

サラ「随分と余裕ぶってるけど、あんたは今から死ぬんだよ?」

ラベンダー「死ぬ? 確かに死ぬわね。しかしそれは私ではない」

サラ「あんた以外に誰が死ぬってんだい。冗談もほどほどにしときな」

ラベンダー「サラ、あなたの命数は今尽きた」

サラの全身が斬り裂かれ、空中に血の花が咲く。
驚愕の表情で膝から崩れ落ちた彼女を、ラベンダーは踏みつけた。
ヒールのかかとがサラの頬に食い込む。
誰だ、誰がやったのだ?
他の妹はそれぞれ散開しており、到底ラベンダーを援護する暇はないはずである。

ラベンダー「……さて、ライムのおかげで形成が逆転したわけだけれども」

サラ「あたしを、罠に、はめたのか」

ライム「そうだぜ。姉貴はもう接近に気付いていたんだよ。バーカバーカ」

ラベンダー「あなたを完全に油断させるため、まるでチーム内で不和が生じたように見せたわけ」

ライム「なーなー本当にこいつHarmoniaの副長かよ。ガチでアホ過ぎるわー。うへへへへ」

ラベンダー「死になさい。あなたに与えられた義務はそれです」

しかし、サラもただの剣士ではなかった。
最後の力を振り絞り飛び跳ねると、ラベンダーの腰を掴みそのまま落下したのだ。
凄絶な相討ちを遂げた二人は、村長ショ・クモーウのいる席に移転された。
驚いたのは姉の勝利を確信していたライムである。
これで、敵の位置情報が提供されなくなってしまった。

ライム「不利な状況がなんだってんだクソ。逆境であればあるほどあたしが活躍する場があるってことさ」

ライム「花だか華麗だか知らねぇが糞ッタレの犬コロども、このライム様をキレさせた罪は重いぜ」

ライムはリボンを取ると、若草色の髪を振り乱して青空めがけて上昇した。
途中で一瞬、銀髪の好青年とオレンジの談話している姿が目に入ったが関係ない。
全員、始末する。
66菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/02/21(日)00:23:37 ID:PsH
とりあえず今は1レスだけ投下
とにかく闘技場編を終わらせねば~
そろそろ終盤だけどね(`・ω・´)
67名無しさん@おーぷん :2016/02/21(日)04:33:56 ID:pp5
キャラ作者組だよ
68名無しさん@おーぷん :2016/02/21(日)21:16:48 ID:X3g
>>59
居るよ
69名無しさん@おーぷん :2016/02/21(日)21:33:18 ID:jt0
>>59
居まっせ
70菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/02/23(火)23:18:10 ID:qna
快男児ジャコモ・フライルートにとって、今回の試合はまるで児戯に等しかった。
蘇生を約束された決闘など、とどのつまり村長の自己満足に過ぎぬ。
ジャコモからしてみれば、他の選手が一生懸命闘う理由が分からない。
それゆえこの青年は闘技場の隅で胡座をかき、麦酒を呷り、菓子をつまんでいるのだ。
砂糖がまぶされた立方体のグミを陶然と見つめながら、退屈そうにぼやく。

ジャコモ「俺はさァ、カワイ子ちゃんさえ拝めればそれで良いのよ。試合だのギルドの誇りだの、んなもん知るか。自由こそが一番」

麦酒がなくなると、近くの観客からラム酒とチーズをひったくり飲り始める。
周囲の冷めた視線もお構いなしで、挙句ぬいぐるみの如く寝転ぶ始末。
その無気力さはハルシャに似ている。
我らがハルシャ組の長も、丁度その時まったく同じ姿勢で観戦していたのだ。
ハルシャに席を奪われたスルメ臭いハゲは、肩を竦めると下の階へ降りていった。

ハゲスルメマン「やぁ、ジャコモ君」

ジャコモ「おお、あんたはええと……Lunaticの副長を務めてた……どなたですか?」

ハゲスルメマン「ハゲスルメマンだ。このスルメ臭を嗅げばすぐ分かる。自己紹介は以上、ちと君に話したいことがあるのだよ」

ハゲスルメマン「なぜ、闘わない。君が重い腰を上げれば、バニーレインボーの撃破など容易だろう。まるで、いはけなき幼女の腕をねじ伏せるようにね」

ジャコモ「面倒だからだよ。あんたも薄々気づいてるだろう? これは単なる遊び。誰も死なない子供のお遊戯さ」

ハゲスルメマン「たかが遊戯、されど遊戯。ほとんどのギルドはこの闘技場で英雄になることを夢見ているのだよ」

ジャコモ「ハッくだらんね」

ジャコモ「かつて、ここより西のエグバード王国で行われていた試合は、こんなモンじゃなかったらしいぜ。どちらかが肉塊になるまで徹底的に闘わせ、死者は弔われることなく道端にポイ捨て」

ジャコモ「勝者は神、敗者は匹夫。そう、敗者に人権も糞もなかった時代さ。今みたいにすぐ蘇生してもらうのと違ってな」

ハゲスルメマン「では何故ジャコモ君は試合に出場したのだね? 自分の気持ちに従えばよかったものを」

ジャコモ「メリーシャが出てくれと頼んだからよ。あいつが頼むんなら……無視するわけにゃいかん」

ジャコモ「正直、今すぐ帰りたい気分だけどさ。メリーシャの姿を見ると、試合の時間がもっと延びてほしいと思っちまう」

ハゲスルメマン「鼻の下も伸びてるしな」

ジャコモ「キャンディみたいに伸び伸びさ。麗人が戦う姿は何よりも美しい。眺めているだけで心持ちが穏やかになる」

ハゲスルメマン「それにしても妙であるな。これほど人が集っている場は他にないのに、魔族の襲撃が未だ非ずというのは」

いつも闘技場にはサンバドル村の住人だけでなく他の町からも多く人が訪れる。
況んやHarmoniaの試合日に於いてをや。 
魔族側からすれば今日は大量の人間を一気に殺戮する好機。
一匹も出現しない方がかえって不気味だ。
そのことに関してはジャコモも少し疑問に感じていた。
71菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/02/23(火)23:20:45 ID:qna
ジャコモ「……なんだ、急に風が出てきたな」

ハゲスルメマン「ジャコモ君、とっくに気がついていると思うが、上空を見たまえ」

ジャコモ「知ってるよ。バニー・ライムとかいうカワイ子ちゃんの仕業だってこと。活躍の場を姉妹に取られてキレちまったか? 短気なとこも含めてべっぴんさんだぜ」

ハゲスルメマン「感心してる場合ではないぞ。吾輩は逃げる、スタコラサッサとな。面接は以上、おさらば!」

筋骨隆々なハゲは颯爽と踵を返し、二段飛ばしで階段を駆け上っていった。
ジャコモの顔に吹き付ける風の勢いはさらに増してゆき、流石の彼も地面に伏せねば飛ばされてしまうほどの突風になった。
身長の何十倍もある石柱が竜巻状の風に根元から掬い上げられ、観客席に落下する。
当然、押し潰される客も出てくる。
観客席は闘技場の周縁にあるため、ショ・クモーウによる蘇生加護がない。
ゆえに多くのギルドは肉塊と化した仲間を抱え、蘇生の『約束』をしてくれるハインリヒ神父の元へほうほうのていで急ぐのだった。
面倒臭がり屋なライムが編み出した、手っ取り早く敵を殲滅する方法。
威力は抜群だが、二次災害が凄まじい。
ライムはそのことを承知で、バニー・レインボーを勝利に導くため最上級魔法『竜巻』の呪文を詠唱したのだ。
次女・ピンクさえも瞠目して、剥がれつつある床にしがみついている。

セレス「ハルシャさん! ハルシャさん!逃げましょう、ここは危険です!」

ジーク「起きろって! リーダーが死んだら、今後ハルシャ組を引っ張っていくのは誰になるんだよ! おい、目を覚ませ!」

ハルシャ「ぐぅぐぅ」

セレス「……なんかもう駄目っぽいですね。ジークさん、ルーミアさんを連れて先に外まで避難していてください。私はこのグータラを担いで後から合流します」

ジーク「だがしかし……!」

ルーミア「じーく、ルーミアはせれすをしんじるですがらったよ」

胸に飛び込んできたエルフの幼女を背中に回し、ジークはセレスを見てうなずいた。
自分を認めてくれた友の命を、この修道女に賭けることにしたのだ。

セレス「あッ」

セレスが再び席を見た時ハルシャの姿は既になく、自らも強烈な突風によってもみくちゃにされ、闘技場内に落下してしまった。
守ると豪語しておきながらこの醜態。
つくづく自分が情けなくなる。
そのままセレスの意識は暗転した。
72名無しさん@おーぷん :2016/02/24(水)00:15:58 ID:0Nc
ハルシャェ…もういっそこのグータラリーダーいない方がまともなギルドになるんちゃうかハルシャ組はw
73菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/02/24(水)00:24:14 ID:J2l
>>72
そうかも……w
74名無しさん@おーぷん :2016/02/24(水)18:00:52 ID:ddz
蹴り飛ばした方が良かったんじゃないのか……w
75名無しさん@おーぷん :2016/02/24(水)18:02:04 ID:upO
前より地の文がだいぶ雑になってるな
描写から描写へぽんぽんジャンプしていっている
画素数粗いデジカメみたい
76名無しさん@おーぷん :2016/02/24(水)23:05:30 ID:upO
何でだろうと思ったら1文あたりの字数が極端に少なくなって描写が単調になってるんだな
「~した」「~だった」
ばかり

このスレ前半はちゃんと丁寧に書かれてるんだが
慌てて更新しようと焦りすぎじゃないか
77名無しさん@おーぷん :2016/02/24(水)23:26:50 ID:BgI
まーた編集者気取り様の登場か
78菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/02/25(木)00:00:00 ID:4w5
まぁ確かに闘技場編を早く終わらせ、魔族軍の内情やハーゲルについて書きたいと焦る気持ちはある
筆力の低下も否めない(´・ω・`)
アドバイスありがとう(^ω^)
79菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/02/25(木)18:41:05 ID:UI8
身体の節々が痛い。
手の平が擦り剥けて、血が滲んでいる。
さっきまでサルサ達と共にバニー・シアンと闘っていたはずだ。
どうにか立ち上がろうとするも、鋭い痛みが走るだけで全く動かせない。
俯せにひしゃげた蛙の銅像になってしまったかのようだ。
こんなみっともない姿を他のギルドメンバーに見られるのは御免こうむる。
一刻も早くせめて立ち上がれるまでに回復せねばならぬ。
メリーシャは激痛を堪えて首を上げた。
ぼやけていた視界が段々と、周囲の状況を把握できるほど明瞭になる。
遠く離れた場所に、誰かが倒れている。
燃える火のような緋色の髪を持つ少年で、メリーシャと同じく俯せのまま動かない。
へそ出し衣装を着ていないところから、彼がただの観客であることが分かる。
彼女は内心自分に舌打ちをしたい気分だった。
華々しく登場しておいて、結局自分は二代目リーダーに相応しい活躍もできずに終わるのだ。
可憐な外見に似合わず、メリーシャは相当の負けず嫌いであった。
ふと、緑色のヒールが狭まる視界に映る。
リボンを取り、髪を肩まで垂らしたライムはメリーシャの端正な顔をしたたかに踏みつけた。
姉妹だけあって、勝利を確信した時の行動が、まるで長女のラベンダーと同じである。

ライム「よぉ、エセお嬢様。Harmoniaで残ってんのはもうアンタだけだ。こっちにゃまだオレンジもピーチ姉貴もいる」

ライム「アンタはここで、頭を吹き飛ばされ死ぬ。誰も助けには来ない。あのモズクジジイの蘇生術も正常に発動するかどうか……」

今度は冷たい掌が押し当てられた。
絶体絶命の状態にあるのは分かっている。
しかし、反撃しようにも身体に力が入らないのだ。
メリーシャは両目をギュッと瞑り、その時を待った。

メリーシャ「うッ……」

数分経ったが、まだ自分の頭と胴は繋がっている。
代わりに聞こえたのはライムの苦しげな呻き声だ。
生温かい滴が頬に落ち、流れて地面へ染みてゆく。
静寂の後、ライムが隣に倒れた。
背後から投擲された鋼鉄製の槍が、見事彼女の首を貫いている。
村長はまだ生きているらしい、ライムが粒子状に消え失せたのは蘇生魔法が発動した証だ。
安堵のため息をつく間もなく、メリーシャの前に現れた影がある。
片手に持っているのはオレンジの死体だろうか。

ジャコモ「フフッ俺の従姉妹にしては、随分と貧弱ではないですかな。メリーシャお嬢様」

メリーシャ「ジャコモ! あなたに助けられるとは思いませんでしたわ……」

ジャコモ「Harmoniaの美しき花は、茎があるからこそ咲き誇ることができる。今こそ証明してやるよ」

ジャコモ「とりあえず、オレンジには感謝しておかないとな。このカワい子ちゃんがうっかり回復してくれなきゃ、俺だって危なかった」

ショ・クモーウのいる席からこちらを見下ろすツインテールの少女を眺め、ジャコモは呟いた。
観客のいない世界一華麗な試合は、遂に佳境を迎える。
80名無しさん@おーぷん :2016/02/25(木)21:06:26 ID:hFs
まさかの従姉妹設定きたー
じゃあジャコモも実は名家出身というか家柄いいのか
なんでメリーシャがジャコモみたいな場違いなメンバー入れたのか違和感あったが納得
しかし>>70を見るかぎりジャコモはメリーシャのお願い攻撃には弱そうw
81菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/02/28(日)00:13:52 ID:4X8
>>80
家柄は良いけど、やっぱり自由が好きなんだろうね
性格からしてメリーシャは滅多にお願いしなさそうw
82菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/02/28(日)00:19:48 ID:4X8
ジャコモは砂利を踏む音すらたてず、流水の如き滑らかな動きで前進した。
途中、倒れているメリーシャからレイピアを借りて両手に構える。
対峙するピンクもまた、雌豹のようなしなやかな動作で刃を撃ち込む隙を見せない。
どちらも無言であったが、二人の放つ覇気と視線は立派に会話を成立させていた。
ピンクが細長い腕を前方へ差し伸べ、ゆっくりと宙を掴んだ。
瞬間、彼女の手にはサーベル状のブロードソードが握られている。
一体どこから調達したのかさえ分からない。
やがて、美女がピンク色のへそ出し衣装を強調するかのように艶めかしく腰を振りながら口を開いた。

ピンク「ライムの突風を受けて無傷だなんて、ボクちゃんやるわね」

ジャコモ「ヘッ、俺を誰だと思っている。かつて戦闘の天才と称賛された男だぜ?」

ピンク「あら? そういう風にはとても見えないけどぉ~?」

ジャコモ「ピンクとやら、アンタの武術も俺には到底及ばないだろう。ゴリラと蟷螂。実力の差は火を見るより明らか」

ピンク「ふぅん、ゴリラと蟷螂ねぇ……面白い喩えじゃない……」

オレンジの治癒魔法で傷を回復したことはあえて黙っておいた。
そちらの方が、ピンクの激情を煽るのに有効だと感じられたからである。
しかし、彼女もジャコモの挑発に乗るほど馬鹿ではない。
一定の距離を取りつつ、自分の周りに観客席から回収した剣や弩を漂わせている。
戦闘時に使用中の武器が駄目になった場合、即座に切り替えるためだ。
物を自在に動かせるピンクにだけ許された芸当である。
隙を見出したのか、ジャコモが腕を交差した状態でピンクに肉薄した。
光の軌跡が空中に二つ描かれ、派手に火花が飛び散る。
上下左右とレイピアは生物のように動き、その巧妙さは剣の達人であるサラさえも舌を巻くほどだ。

サラ「凄い……」

Harmoniaの茎とバニー・レインボーの巨塔が闘う姿を、サラは村長のいる席から息を飲んで眺めていた。
ジャコモという人間が優れた戦士であることは噂で聞いていたが、まさかこれほどまでとは。
もうほとんど彼とピンクとの間には金属音と、橙色の火花しか飛び交っていない。
あれだけの剣技を習得するのに、彼は幾年費やしたのだろう。
自分には到達できない境地に、ジャコモがいることは確かであった。

サルサ「サルサ思うんだけどね、互角のピンクも相当の剣士だと思うよ!」

サラ「あれは超能力で剣を振り回しているだけだ。それでも攻撃をいなしているのは凄いけどね」

サラ「いずれにせよ、双方Lunaticに属しても遜色ないレベル。観客がいたなら、さぞ熱狂の渦を巻き起こしただろうさ」
83菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/02/28(日)01:02:52 ID:4X8
メリーシャの能力は一度だけ瞬間移動
使いどころが簡単そうで結構難しい
連発ができないし、シトラスとコーラル姉妹の雷火砲を回避できたのは、若干運も関係している
雷火砲はあっけなく終わってしまったけど本当はくそつよい
4までのモンスターならば一撃で焼却可能
ラベンダーの頭脳、ピンクの超能力、シアンの洪水、ライムの竜巻、オレンジの驚異的な治癒能力、そしてシトラスとコーラルの雷火砲
これで彼らはサンバドル村3位までのし上がってきた
84名無しさん@おーぷん :2016/02/28(日)01:45:58 ID:yUI
メリーシャの作者っす
一度じゃなくて一瞬だけ、っすね。連発できちゃうとチートくさくて
面白くないと思ったからあえてスキがあるキャラにしてみますた
それに一度だけだと今試合>>8で試合前にすでに使っちゃってるし(小声)
しかしギルドマスター(しかもNo.2ギルド!)なんて大役のキャラに選ばれて光栄っす
85名無しさん@おーぷん :2016/02/29(月)21:06:26 ID:dDD
おっ再開してる!
86名無しさん@おーぷん :2016/02/29(月)23:09:18 ID:dDD
アグサの作者ですはい
87菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/02/29(月)23:55:10 ID:0fW
ピンクは自分が振るう剣に刃こぼれが目立ってくると一旦敵から離れ、周囲に漂う弩を掴み取った。
わずかな時間の間に瓦礫を弾代わりとして装填する。
弓弦を千切れそうなほど強く引き絞り、狙いを迫るジャコモの額に定めて撃ち放つ。
わずかながら魔力の含まれていた瓦礫は、風を切り高速回転しながら二つ、三つと細かく分散していく。
ジャコモにしてみれば至近距離で散弾銃をブッ放されたようなものだ。
濛々と土煙が立ち上り、酒と女が大好きな青年は忽ち包まれた。
その時、誰もが全身を瓦礫に撃ち抜かれる彼の姿を想像した。
だが、現実とは面白いもので予想通りに事が運ぶとは限らない。

ジャコモ「全部で五十。いやぁ、よくここまで分割できたもんだ」

無数の弾丸にジャコモはたった二つの細剣で対処してしまったのだ。
それだけではない、なんと彼の投げた剣がピンクの左足と地面を縫いつけている。
柄の部分まで深く刺し込まれており、いかに彼の臂力が凄まじいか窺える。
流れる赤黒い血と間断なく走る激痛にピンクは口元を醜く歪め、手も触れずに細剣を引き抜いた。
小さな頃から、自分は姉妹の中でも優秀な戦士であると褒められてきた。
サンバドル村最強のギルド・Lunaticにおいても最強の部類に入るだろうと称えられてきた。
村長用の豪華な席でふんぞり返っているショ・クモーウを顔の輪郭が変形するまで叩きのめしたこともある。
この私、ピンクは武力と色気に関しては誇りを持っている。
ふざけた酔っ払いごときに負けるわけにはいかぬ。

ピンク「ボクちゃん、マジで痛い目に遭わないとダメなみたいねぇ……」

ジャコモ「足を貫かれても泣かないか。女の子にしては、なかなか我慢強いじゃないの」

ピンク「うるさい! お姉さんもうプンプンのプンよ、挽肉にしてくれるわ!」

ジャコモ「怒りっぽいと、モテないぜ」

桃色の瞳がカッと開かれ、同時にジャコモの剽悍な身体は彼方上空まで吹き飛んでいた。
落下してくる酔っ払いに向けて、折れた石柱を投げ槍の要領で一気に発射させる。
吹き飛ばさんと下から登ってくる直方体の岩を前に、ジャコモは再び双剣を振るった。
彼が剣舞を見せる所、斬れぬ物なし。
普通の技では通らぬ石柱も、彼の手にかかれば瞬時に細切れの石ころと化す。
ピンクは未だ、ジャコモの実力を甘く考えていた。

ジャコモ「こんなもん、余裕余裕……おや?」

青色の絵の具で塗りつぶされたかの様な空に、なにか禍々しい気が渦巻いているのを彼は見た。
渦の中央に、鋸状の角がチラリと覗く。
ジャコモは無事着地すると、天を仰いで舌打ちした。

ジャコモ「なんてこった。観戦客が試合に乱入してくるなんてな……それも、一番会いたくない野郎だ」
88菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/03/01(火)00:15:53 ID:yXf
>>87
なんか最強が連続で続いてしまった
後で直しておきます(;´・ω・)
89菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/03/01(火)00:30:37 ID:B2P()
もう闘技場編は終わりかな
こっからハルシャ自身の話や地下研究所で怪しげな実験を行っている老博士
ハーゲルだの極東だの色々進んでない物語にとりかかる
まだ序盤から中盤にさしかかったくらいだよ( ̄Д ̄)
90名無しさん@おーぷん :2016/03/01(火)23:46:21 ID:rgm
1おつ!
楽しみですはい
91名無しさん@おーぷん :2016/03/03(木)14:00:19 ID:clQ
毎秒投稿しろ
92菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/03/03(木)19:30:45 ID:eIK
峨々たるクリム山脈の陰影から急速に暗雲が広がり、渦を中心に雷鳴を轟かせながら回転する。
テングリカガンの時もそうであったが、強力な魔族が出現する際、必ずと言っていいほど暗雲が立ち込める。
今回も魔族長か、あるいは同等のモンスターである可能性が高い。
実際にテングリカガンと交戦したことのあるメリーシャは、動けぬ身体をそのままにして、静かに考えていた。
ジャコモとピンクの一騎討ちの顛末はどうなったであろうか。
村長の席を見やるも、ショ・クモーウどころかHarmoniaのメンバーやレインボー姉妹すらいない。
助けに入るか否かで意見が食い違い、結局村長がなだめて彼らを避難させたと思われる。
メリーシャはショ・クモーウの制止を振り切ってでも助けに来なかった仲間を、心の隅で呪った。
普段の彼女ならば、他者を呪うような器の小さい行いはしない。
残虐な死を前にして、少し錯乱気味であったのやもしれぬ。
これから、テングリカガンを筆頭に精強な魔族軍が押し寄せてくるのだ。
いかなる強者もあの山羊には太刀打ちできまい。
天を見上げていた銀髪の青年は、つとピンクの方を振り返った。

ジャコモ「試合は一旦中止としよう。魔族が来る、それも幹部クラスのヤバい奴だ」

ピンク「あら~? 自称戦神のボクちゃんにしては弱気ねぇ。お姉さんいつでも闘えるわよぉ~?」

ジャコモ「カワイ子ちゃん、渦の中央に鋸状の物体が見えるかい? ありゃ魔竜デズモンドの角よ」

ピンク「デズモンド? 聞いたことないわねぇ。お姉さん分からないわ、教えてもらえるかしら~?」

ジャコモ「魔族長テングリカガンの片腕、危険度7の魔竜さ。長い間魔界に閉じこもっていたから、大半の戦士は存在さえ知らん」

ピンク「どうしてボクちゃんは一目であれがデズモンドと判別できたの?」

ジャコモ「俺は天才だからな、脳内にいつも大図書館を展開してるのさ」

ピンク「大した自信家ねぇ」

ジャコモ「俺は従姉妹を助ける、カワイ子ちゃんは遠くにのびてる赤髪の少年と、修道女を頼むぜ」

くれぐれも魔竜に挑発などしてはならない。
それだけ言い残し、ジャコモはメリーシャの元へ疾風迅雷の勢いで駆けていった。
彼の後ろ姿を見つめていたピンクであったが、不意にデズモンドの角へ向けて石柱を発射した。
まだ闘技場に残っていた石柱であり、大きさも威力も角をへし折るには到底及ばない。
ただ、デズモンドの怒りを誘うには十分過ぎた。
渦が更に広がり、隙間より翼を生やしたトカゲやら兎やら飛んでくる。
魔界と現実世界の扉が今、開け放たれようとしていた。
93名無しさん@おーぷん :2016/03/03(木)23:11:42 ID:2LT
おっ更新してる
94菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/03/05(土)00:49:38 ID:psH
ジャコモは麻痺状態にある従姉妹を背負うと、デズモンドの位置を確認して一目散に走り出した。
闘技場のステージから観客席に飛び移り、持ち主が落とした木製の短弓を手に取る。
片手に斧を携え立ち塞がった獣人を射倒し、続く神速の三連撃で滞空する中型の竜に死を与える。
彼は数日練習するだけで全武器において達人級の技を連発することが可能なのだ。
特別な能力などは一切なく、天賦の才だけで高難度の討伐依頼を受けるにまで上り詰めたのである。
ジャコモは雑魚の掃討では飽き足らず、矢をつがえると指が赤く染まるまで引き絞った。
矢を放ったのと同時に、一筋の闇光が戦神の足場を粉々に粉砕した。
咄嗟の判断で左に飛び、強烈な光線を間一髪回避する。
どうやら魔竜デズモンドもこちらの存在に気付いているようだ。
鋸に似た紫色の角はセンサーの役割を果たすだけでなく、魔力を一点集中し放出する砲台でもあるらしい。

ジャコモ「魔竜デズモンド、奴が魔界の扉を開放する前に両目を潰してやろう」

視力を奪えば、魔竜と言えど動作が制限される。
デズモンドは賢いモンスターであるから、盲目の状態で闇雲に深入りなどしないはず。
現在、毒々しい鱗に包まれた竜の巨躯は半分ほど扉を通過している。
戦闘可能な戦士で残っているのは、ジャコモとピンクだけだ。
彼と互角の闘いを繰り広げた彼女も次から次へと溢れてくる魔族に手間取っている。
再び矢をつがえた手に、蒼白く細い誰かの手が重なった。
精一杯の力を振り絞り、弱々しくジャコモの耳へ囁く声がある。

メリーシャ「わたくしのことはいいから、早く逃げて」

ジャコモ「俺の身を案じてくれてるのかい? 愛してるぜベイビー」

メリーシャ「違いますわ、あなた一人なら勿論デズモンドの攻撃も容易にかわせるでしょう」

ジャコモ「あれ? 心配してくれんじゃないのね……。まぁそうだ、俺は戦の天才だからな」

メリーシャ「わたくしがこうして背に乗っていたら、ジャコモ様が闘う上で何かと不便だと思いますの」

ジャコモ「だからアンタをここに置いて行けと……」

メリーシャ「そうですわ。わたくしが死んだらHarmoniaはあなたが継いで下さいまし。何としても、共倒れだけは避けなくては」

メリーシャは苦悶の表情で喘ぎながら必死に懇願した。
本来なら彼女の死後は、副GMのサラがリーダーに就くことになっている。
しかし、この異常な状況で本当に頼れるのは従兄弟であるジャコモしかいなかった。
魂の懇願を受けた彼は、ただの少女となったメリーシャを無言で席に降ろした。
矢を弦につがえることなく、そのまま竜の目へ向けて一直線に投擲する。
ぐさり、と鏃が瞳の中心に突き刺さり、そのまま水晶体を完全に破壊した。
右目を射抜かれたデズモンドはパニックに陥り首を横に激しく振る。

メリーシャ「ジャコモ……様……」

ジャコモ「悪いが、俺は醜い魔族のケツよりも麗しき女のケツを追っかける方が好きだ。まだアンタに死んでもらうわけにはいかねぇんだよ」
95菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/03/05(土)20:56:35 ID:BKE()
ハルシャは嫌な夢を見ていた。
足の指から一本一本、脳天まで少しずつ肉を削ぎ落とされていく夢だ。
猿轡のせいで叫ぶことすら許されず、腕は後ろに回されているため、縄をほどいて逃走することも叶わぬ。
誰が残虐な凌遅刑を執行しているのか、腕から上が影になっているので分からない。
鎧を着込んだ騎士にも見えるし、はたまた年端もいかぬ少女が処刑用の牛刀を握っているようにも見える。
きっと、捉え方次第で執行人の姿は如何様にも変化するのだろう。
彼は嫌悪感こそはあったが、恐怖といった類の感情は一切抱いていなかった。
全力を尽くした末での敗北ならば、誰に何をされようが文句は言えない。
たとえ相手が聖剣使いという理不尽な強者だとしても。

ハルシャ「……聖剣?」

聖剣とは何だ?
無抵抗に斬られている俺は一体何者なのだ?
それ以前に、ここはどこなのだ?
矢継ぎ早に浮かんでくる素朴な疑問。
右の太ももに鋭利な刃が食い込み、股関節の方へと緩慢に動いてゆく。
肉や脂肪と共にこの漠然とした疑問も除去されて欲しかったが、ますます深くそして濃密になるばかりであった。

デズモンド「ハルシャよ。何故ヒトの世界におるのだ。時は来た、早くこちらへ戻ってこい。貴様は朕と同じ、魔族なのだから」
96菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/03/05(土)20:56:58 ID:BKE()
氷河のような冷徹な響きを持つ声。
気がつけば、執行人が少女となっている。
言うまでもなく首から上は、鋸に似た角の毒々しい魔竜であるのだが。
魔竜の頭を持つ少女は牛刀を投げ捨てると、人差し指をハルシャの額に当てた。
彼の視界一杯に眩しい光が広がる。

デズモンド「目覚めよ、そして自らの務めを思い出せ。本来貴様のいるべき場所はどこだ? まさかヒトの集落ではあるまい」

厳かな声が消えた時、ハルシャは瞼を開けて、夢の中で話しかけてきた竜を仰いだ。
デズモンドは身体の半分までは出ているが、残りはまだ魔界から抜け出せていない。
加えて片方の目に矢が刺さっており、動ける範囲も制限されている。
倒すなら、今がチャンスだ。
散らばる武器の中から、得意な弓を拾い上げ、弦を引き絞る。
龍の魂を宿した聖火の矢・ブレイズアロー。
試合を崩壊させた魔族に一矢報いん。

ハルシャ「意味不明なことグダグダぬかしやがって……。務めを思い出せだと? ああ、そうさ。俺は戦士としての務めを果たす。お前のもう片方の目を潰してな!」

龍の形をした火矢は軌道上にいた魔族共を喰らい尽くし、遂に目標へ達した。
患部より追加効果の炎が顔全体に燃え移る。
両目を失い、さらに顔も焼かれる。
流石のデズモンドも耐えきれぬ。
撤退の咆哮を轟かせ、魔界と現実世界の連絡路となる扉を固く閉ざしてしまった。

ハルシャ「荒らすだけ荒らして撤退か。人騒がせな野郎だ。おーいセレス、帰るぞ!」

ジャコモ「そこのあんた、すげぇな! あのデズモンドを追っ払うなんてよ!」

ピンク「未来の勇者ね、お姉さんサイン欲しいわ〜!」

ハルシャ「い、いや……まず誰だあんたら」

魔竜デズモンドの侵攻は、後にハルシャの運命を大きく変えることになる。
97名無しさん@おーぷん :2016/03/05(土)23:25:27 ID:E1M
イトコって呼び捨てが普通かと思ったがたいして親密でもなければ他人行儀に様付けすることも別におかしくないのか
98菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/03/06(日)00:17:16 ID:Fly
>>97
呼び捨てにするかどうかは少し迷った
でも少し乱暴な感じがして様付けを貫き通すことにした
一応お嬢様キャラだからね……
99菩薩◆XuHlfjDjx0ab :2016/03/06(日)00:20:23 ID:Fly
デズモンドの精神攻撃は果たしてハルシャにどのような影響を及ぼすのか
100名無しさん@おーぷん :2016/03/06(日)19:11:37 ID:lHb
ただのグータラ主人公かと思ったら一転してシリアスな要素が出てきたなまさか魔族だったとは
でも見た目は別に耳が尖ってたり尻尾があるわけじゃなく普通の人間なんだよね?
魔族と人間の間に生まれたハーフみたいな感じか。生粋の魔族ではなさそう

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