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【読心】 (小説)

1名無しさん@おーぷん:2015/07/17(金)00:25:20 ID:EtH()
別所で書いていたやつをこの機会に貼っていくお
今別作品にかかりっきりだし、いつ完結させられるかわからないけど
2名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)00:25:44 ID:EtH()
 やあやあ、よくいらっしゃった。
 遠いところからわざわざようこそ。ささ、入ってください。
 少し遅くなりましたな。あ、さあどうぞそこに座ってください。
電話で言っていたが、バスを一本乗り遅れたとか。はは、ここいらはバスが一時間に一本しかありませんしな。うまく次のバスまで待つことが出来ましたかな。
なに、駅前の喫茶店に入って時間をつぶしたと? それはいい。
私も街の方に買出しに出かけたときなどは、その喫茶店によくお世話になりましてな。こう、重い荷物をトラックに詰め込んだ後、中でゆったりとくつろぐんですわ。
そのおかげで懇意にさせてもらってるが、マスターの入れるコーヒーが絶品でしてな。美味かった? それはよかった。
今の都会から来た方の舌にも合うようでうれしい。
そこでこう、週刊誌などをぱらぱらーっと読みましてな。まあ田舎ですから少し入ってくるのは遅れるようですが。
なに? スマホをいじって時間をつぶしていた? ブログにSNS? ははぁ……。私にはとんとわかりませんわ。
3名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)00:25:58 ID:EtH()
 バスから見る眺めはどうでしたかな? 一面広がる平野に、地平線上の丘。楽しかった? そうでしょう。私も初めて来た時は感激しましたわ。――こう、見渡すと心が広がる感じでしてな。
都会のごみごみした所にいるとこういう気分は味わえませんわ。おかげでここに移ってきてから目も良くなった感じでしてな――まあ、もともとそれほど悪いというわけでもなかったんですが、それでも前よりよく見えるようになりましたわ。
それに涼しい? はは、もう夏ですからな。東京のコンクリートの炎暑地獄は私も覚えてますわ。あれは肌の表面がほんとに焼けるようで。それに地球温暖化とかで、テレビで見る限り一層ひどいことになってるそうですな。
その点こっちは涼しくて夏過ごしやすいですわ。まあ北海道といっても場所や地形によって暑いところと涼しいところがあって、ここは涼しいところの方なんですが――それでもどこでも東京よりは当然過ごしやすいですわな。
まあ冬の寒さは比べようもないくらい辛いんですが。ここに来るまでの間バスで眺められた風景。今は初夏だから緑が青々としげって目が安らぐんですが、秋も少し過ぎると枯れ果てて一面荒涼たる景色になりましてな。あれは見ていて寂しい――そう、寂寞たる気分になりますわ。
冬になると雪が積もってそれも見えなくなりましてな。道路も除雪車が出動するし――。こんな少しの人しか使うことのない延々長い道路でもきちんと除雪作業してくれるんですからな。ありがたいことですわ。
4名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)00:26:12 ID:EtH()
 あ、こりゃいかん! 飲み物もお出しせずに。なんせ久しぶりによその方から人がいらっしゃったんで、嬉しくてつい喋りすぎましたわ。今すぐ用意します。
え? なに? 寒さに弱いと冬ここで過ごす自信がない? はは、しかし家の中は暖かいんですよ。北国だけあって防寒断熱処理がきちんとしてありましてな。暖房をつけさえすれば、下手したらそちらの方より過ごしやすいと思いますわ。
私もここに来て知って驚いたことなんですがね。ただやはり雪かき作業とかは大変ですから冬がつらいのは確かですなあ。
さ、ちょっと飲み物作ってきますわ。お茶かコーヒーどっちがよろしいかな。コーヒー? 了解しました。申し訳ないが、少し待っててくださるかな。その間、暇なようならそこの棚の本や雑誌でも見といてくださいな。大したものはありませんが。
5名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)00:26:25 ID:EtH()
 さ、お待たせしました。勝手とは思いましたが、こちらにミルクも付けときました。今朝とれたばかりのやつでしてな。
近所の酪農をやってる方から毎朝もらってくるんですわ。搾りたての牛乳をそのまま飲むととにかく美味いです。加熱殺菌をしたりせずにそのままごくごくっとね。あ、こちらは加熱処理をしてありますのでご安心を。
朝もらってから少し時間たってますが、それでも市場に流通するものよりは美味いですよ。あ、お入れになりますか。この牛乳を入れたミルクコーヒーはなかなかのものですよ。どうです。美味しい? 
お礼にこちらは収穫した野菜を届けたりしましてな。特にとうもろこしが喜ばれました。とうもろこしはいいですな。甘みがあるし、カロリーやミネラルも豊富で。案外用途がいっぱいあるもんですよ。
――え、そんなことより早く話を聞きたい? ――そうですな。これは失礼しました。せっかく遠路はるばるお越しくださったんですからな。
6名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)00:26:41 ID:EtH()
 ――で、何でも趣味で超常現象を研究なさっている方で、昔のテレビ番組で私のことを知ったと電話では聞きましたが、私が出たあの番組はもう25年は昔のはず。
お見受けしたところ30前後の方と見ますが――29歳? ほう――、あの番組が放映された時はまだ小さかったと思うのですが、まさかその時に見た番組をそのまま覚えていたわけでは――違う? そうでしょうな――、
では家族や親戚の方が録った録画を後で見せてもらったとか――それも違う? インターネットで知り合った同じ趣味の方に録画を見せてもらった? 運営してるホームページにコメントをもらったことから交流が深まり、メールをやり取り? 
――はあ、なるほど。やはりインターネットというのは便利な物なんですな。私はテレビと電話だけの生活ですわ。
テレビでドラマやニュースなど見ていると、そういうIT? の進歩も少しは知れますが、日々かけ離れて取り残されていく感じですな。まあ、自ら望んでそういう道に進み、今の生活を選んだわけなんですがな。
で、こんなところに隠遁した私の住まいと電話番号の事はいったいどうやって知って――探偵に頼んだ? ――はあ、驚きましたな。まさか私が探偵に調べられることになるとは。
なに、申し訳ない? ――いやいや、気にすることはないですよ。私もまさか探偵に調べられるほどの人間だと知ってちょっと驚いているくらいですから。――まあ、悪い気はしませんな。
それにそこまでの熱意を持って私のことを調べ、さらにこうしてわざわざ東京から北海道まで足を運んできてくれるとは。――よろしい、私のことについて語っていきましょう。
ところでこれはブログだかホームページに載るのですかな? ――なに、載せていいですかだって? ――そうですな、当然特定できるような情報を出さずに、特に秘密にしてほしいことを書かずにいてくれるなら――。私もこのことについては誰かに語ってみたいと思っていましたからな。
7名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)00:27:11 ID:EtH()
 ――そう、私が初めて自分の能力に気付いたのは3歳か4歳ごろのことでした。
今でこそこうやって――かっこいい言葉を使えば世を捨ててですな――北海道の片田舎に引っこんで農業なんかをしておりますが、出身は今のあなたと同じ東京だったんですよ。
父親はサラリーマン、母親は専業主婦で、郊外の一戸建てに住む特に変わったことのない家庭でしたな。――その家では私が生まれる前から飼われているオスのボクサー犬がいまして――名はベスといいました。
今にして思えばメスにつける名前じゃないかという気がしますがな――、家の中を自由に室内飼いされてました。
ご存知の通り、ボクサー犬は犬としては割と大きな種類ですから、小さい私にとってはもうはるかに大きい存在ですよ。
優しい犬で、よく私の横に寄り添ってくっついてくれましてな。お昼寝している時とか這い這いで進んでいる時とか――。昼間仕事で家にいない父親はもちろん、家事で手が離せない母親の代わりに私の面倒を見てくれました。
父親か母親に背中に乗せてもらってお馬さんごっこをするのが好きでしたわ。ベスはそんな私の気持ちを知ってのっしのっしと歩いてくれましてな。
私の方から寝そべってるベスの方に近寄ってその大きな体に包まれて寝たりね。
――そんなわけで、ベスは小さな頃の私にとって特別な、ある意味両親より身近な存在で、小さいうち家にいる時はいつも一緒にいて時間を過ごしましたわ。
8名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)00:27:36 ID:EtH()
 ある時、寝そべっているベスのお腹に頭を乗せてその呼吸と体温を感じてくつろいだ状態から体を動かして上に乗っかると、手でちょっかいを出して、仰向けになったベスといつもと同じようにじゃれ合うようにして遊び出しましてな。
しばらく手でベスの体をくすぐったりして遊んでいたんですが、ベスが強くじたばた動いた拍子に体勢を崩して前に倒れ込んでしまいました。その時上を向いたベスの顔にまともに頭が落ちてしまいましてな。――こう、額と額がぴったりくっつく形になったんですわ。
――そうしたら、途端に、くっついた額のところから何か流れ込んでくる気がして――何かこう、暖かく落ち着く感じがし、同時に色も輪郭もぼんやりした何やら黄色の卵状の光の形が見えました。数秒はそうしていたと思います。
よくわからないまま、ベスの額から流れ込んでくる、体温とは違う、脳と心を直接ぽかぽか温めてくれるような感覚が何とも気持ちよく、それを感じていたかったんですわ。
そのうちベスがまたじたばたと動き出しまして、顔を私から背けて離しました。暑苦しかったのか、呼吸が苦しくなったのかだと思いますが、ベスの額が私の額から離れた途端、その暖かい流れはぷっつりと途切れ、私ははっとして顔を持ち上げました。
意外なことに、さっきのような暖かい流れを送ってつながっていたにも関わらず、ベスはいつもと同じように下を出して無邪気な表情で、また私と遊びたそうにうずうずしていました。
私がぽかんとして彼の顔を見下ろしていると、催促するように前足を私に当てて、軽くひっかくような動作をしました。
9名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)00:28:13 ID:EtH()
 ――それが初めて私が自分の能力を感じた時でした。その時は能力といっても、ただ普段と違う、ちょっと変わった気持ちいい体験をしたという程度の認識のものでしたがな。
その、すーっともざーっとも額から頭の中に流れ込んでくる暖かい感覚を感じたくて、その日以来何度もベスのおでこに自分の額をくっつけてみました。
その時々に感じる感覚の濃淡や、また見えてくる光の数や形、色などが違ったりしましたが、それでもその度ごとに暖かい感覚が流れ込んできて、私の気持ちはいつも満たされました。
しかし、やがて気付いたのは、やはりこの額を通しての感覚を感じているのは私だけで、ベスの方は暖かい感覚に満足している私にもかかわらず、この額同士の流れについてはまったく何も感じていないらしいことでした。
私がベスの額から流れ込んでくる感じにじーっと気持ちをゆだね、このままずっとこうしていてもいいというような無上の満足感を得ているにもかかわらず、
ベスはじたばたと動き出して、もっと遊ぼうとするか、窮屈さから逃れ出ようとするかで、眼の光も変わらず、そこには私が普通に顔を近づけることに対する反応以上のものは見られませんでした。
言ってしまえばまったく普段通りのベスだったというわけですな。
10名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)00:28:58 ID:EtH()
 ベスが何も感じず、この感覚は私だけが感じているらしいことに気付くと、やがて、次に好奇心がわいてきました。
この感覚は額と額を合わせた時だけのものなのか。相手の額以外のところに自分の額を当てたらどうなるか。また、逆に相手の額に自分の頭の他の箇所を当てたらどうなるか。はたまたお互い全く無関係の場所――額以外のところ同士というわけですな。
もちろん、感覚に気付く以前も、気付いた後も頭を色々くっつけて寄せ合うことは何度もあったんですが、
今度は徹底的にあらゆる位置を試して、また、それまでは意識していなかったから気付かなかったのかもしれないと、その感覚をその色々な位置から感じようと努力してみました。
――結果は、駄目でした。やはり額同士を付けないと。そして、額同士でも少し中心からずれると――位置や角度が変わったりすると――途端に――今だからこういう言葉を使うと、‘受信’が悪くなるんですな。
私は、右の額の方が左よりやや感じやすいことがわかりましたが、それでもベスの額を正面から――右の額で――受け止めた時で、
ベスの額も片側になるともうほとんど断片的に、チラチラと微かに光や感覚が浮かぶだけで、周りの部屋の風景を目で見たまま、眼の端にそういった像や映り込んで来、何とも奇妙な感じでしたわ。
結局、お互い同士の額を真正面から向き合った時だけその感覚がはっきりと大量に流れ込んでくると知りました。
その時は無論解剖学や神経科学の知識はありませんでしたが、額はちょうど前頭葉の前頭前野のところで、思考をつかさどり――何というかこう、指向性を持つんですな。
もちろん子供の頃は知識が無いわけですが、ベスに対してあれこれ位置を変えて試してみた結果から得た結論はともかく、額が何か特別な場所らしいということは何となく感覚的にわかっていた気がします。
11名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)00:29:30 ID:EtH()
 ベスに対してあれやこれやの‘実験’――当時はそういう意識はなく、単に好奇心から試してみただけでしたが、今らすればはっきりした実験でしたな――を終えると、今度は違う相手――両親――に試してみたくなりました。
そして試すなら母親ということで――いつも家に一緒にいますし、それに誰でも男の子は小さいうちは母親の方が好きで触れていたいものですからな。
その時までにいくらでも試そうと思えば試すことは出来たのですが、差し当たってはベス相手の実験にいろいろ夢中になっていたのと――
とりあえず、今やっていることを最後までやり遂げないと次に移る気がしないと、子供ながらに凝り性のところがあったんでしょうな――、――そう、何となく‘怖い’感じがあったのも確かです。
今までベス相手にしか経験していないとはいえ、子供のうちにこの感覚――当時は自分が特別という自覚はそれほどなかったですが、それでも何となく自分が持っている‘能力’――の本質を本能的に感じていたんでしょうな。
ベス相手に暖かい感覚を得て、満足を感じているうちはあえて母親相手に試そうという気持ちは起こりませんでした。
12名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)00:29:47 ID:EtH()
 それでも、ある時どうしても好奇心と、欲求の我慢の起こりが切れてしまいました。
いい犬でしたが、いつも私の感覚に対して無反応で、じゃれて遊びたがることしか考えないベスに少々飽きてしまったんですな。
ベスが無理なら人間は――母親はどうなのか。私の感じを共有することが出来るのか。そもそも母親相手にもベスに対して感じたような感覚は起こるのか。
13名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)00:30:15 ID:EtH()
 私はある日、母親の家事の手が空いた時を見計らって、「お母さん抱っこして」とねだりました。
母親はちょっと驚いたようでしたが(普段肉体を触れてのスキンシップはベスと遊ぶか、休日に父親が高い高いして遊んでくれたりするくらいで、母親とは滅多にそういう事はありませんでしたからな。
それでもその時私が父親より母親をより好いていたのは確かですし、母親も何となくそのことはわかっていたと思います。むしろ男の子が母親に対して大っぴらにそういうことを望むことに意外だったようです)、
少し照れながらも、嬉しそうに微笑むと両手を上げておねだりのポーズをしている私の方に屈みこむと、抱っこして持ち上げてくれました。
母親の胸に抱え上げられた私は相手の肩に手を置いて体を支えると、すぐに顔を母親の方に近づけて、自分のおでこを相手のおでこの方にくっつけ合わせました。
母親はますます驚いたようで、一瞬息を呑むのがわかりましたが、それでも照れながら嬉しそうに笑い、私がこつんと合わせたおでこに自分の方からも皮膚が軽くこすれるくらい自分のおでこをすり合わせてきました。
14名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)00:31:11 ID:EtH()
 途端に、額を通して頭の中に奔流が流れ込んできました。
それはもはや、ベスの時のように暖かい感覚や光の像といったぼんやりしたものでなく、感情、言葉、光景――はっきり思考といっていいものでした。
膨大な情報が流れ込んできます。
直接頭に訴えかけてくるベスのとは違って、ふわっと体全体が包み込まれて浮くような暖かい感覚がまずありましたが、それに続くのは、私に対するものなのか、『可愛い』『大きくなったわね。ちょっと重いわ』『いい匂い』『何やってるのかしら』という独白風の言葉に、
少しぼやけてはいるが、何やら閉じた目と鼻が眼前に迫った巨大な幼児の顔――しばらくして気づきましたが、‘私’でした――とその後ろに垣間見える、今自分がいるよく見知った部屋の光景、
私たちの普段と違う行動に興味を惹かれたのか、少し離れたところでワンワンと吠えるベスの声――何やら二重に、妙にはっきりとエコーがかかったように聞こえ、どこか奇妙に心地良かったです――と、普段私が考え、感じているのと同じようなものです。
ベスのとは違う、また別種の暖かい感情に一瞬心地良さを感じたものの、私は、あまりに明晰に頭の中に入り込んで来る思考――小さい私にもこれがはっきりした‘思考’だということは否が応にも理解できました――に驚き、
それに飲み込まれそうな恐怖まで感じ、思わず頭を離そうかと思いましたが、
母親を驚かせ、また不審がらせてはという思いから、頑張って頭を動かすことなく、ぴったりと額をくっつけたままにしておきました。
また、この間、私の動揺が母親に‘読み取られ’ていないかと、必死に心の奥底を隠そうと、ぎゅっと母親の肩に掛けた手を握りしめました。
思考の流れはそのまま入ってきますが、私は一生懸命心を落ち着かせ、せっかくのことですから、じっとそのままにし、初めに入ってきたふわっと暖かい感情をもっと知って、感じようと、必死に入ってくる流れを‘探り’ました。
なおも言葉や視覚、聴覚の流れは入ってきますが、それらを相手しないようにし、できるだけ暖かい感覚に身をゆだねようとしていると、
やがてそれらは白昼夢の時のようにぶつぶつと意味をはっきりとらえられないまま私の頭の中を流れ去っていくだけになり、ふわっとした暖かい感情が完全に私の頭を通して、体全体を覆って感じられるようになりました。
ベスのとは違う、慈しむような、優しく、微笑みながら保護するような感じ。私にもそれはどういうものかはっきりわかりました。母親の我が子に対する愛情です。
15名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)00:32:11 ID:EtH()
 ベスのとは違う(ベスのは言ってしまえば、私が生まれる前からいたこともあって保護者的なところもありますが、また友人としての側面も強い‘親愛’の情といっていいでしょうか。それでも非常に誠実で、信頼関係の強いものですが)
柔らかく包み込むような愛情の念を額から受け取って、全身で心ゆくまで感じた私は頭を上げて、母親からくっつけた額を離しました。
途端に、ぷつんと入り込んで来る流れが途切れ、一気にいつも通りの‘現実’に引き戻された私は、ベスの時とは違い、その入り込んでくる流れの量と‘濃さ’の違いに意識のほとんどをゆだね切っていた身から急に引き離されることに戸惑い、心細ささえ覚え、
さっきまで包まれていた温かみのある愛情の感覚から離れたことで肌寒さも感じました。
私が顔を離すと、母親は私の目を見て優しく微笑みながら「いきなりどうしたの?」と訊いてきました。
今まで額を通して思考の流れを感じていた私にしては変な話ですが、その――小さな子供の立場から母親に使う言葉には変ですが――
無邪気な笑いの表情と疑問の光が微かに混じった目を見て、母親もやはりベスと同じように額から私の思考の流れを感じていずに、私が額を付け合わせた意図も理解していないらしいと思いました
(これは初めてのその時は気づきませんでしたが、相手の思考や感情や言葉のうち、特に相手の意識の表面に表れたものが強くはっきりと流れてき、
そうでないものは薄く、細切れの断片的に入り込んで来るらしく、その時の私もとりとめもなく流れ込んで来る疑問の意識や感情をぼんやりと受け止めながらも、はっきり理解するには至らなかったようです。
もっとも、この点については後々修練を積むことで、ある程度読み取りたいものを選んで理解することが出来るようになりましたがな)。
16名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)00:36:38 ID:EtH()
 次の日から、私は同じように母親に抱っこをせがみ、額を付け合わせることを繰り返しました。
母親が本当に私の思考の流れに気付いていないのか――この能力が私に特別のものなのか――と、もっとこの思考の流れについて知りたいという思いがありました。
正直その時は当初ベスに対して何も考えずに暖かい感覚の心地よさを求めていたのと違い、知的好奇心――こう言っていいと思いますが――が勝っていたのと、もう一つ、あまりにはっきり流れ込んで来る思考の様に幾分の恐れと逡巡を抱いていたのも確かです。
――しかし、私が毎日抱っこをせがみ――時には日に二回ほども――、その度ごとに駄々をこねる子供に対して困ったような、しかしそれにも増して嬉しそうな笑顔で私を抱っこして持ち上げる母親に対して額を付け合せることを繰り返しているうちに――
母親の方もやがて、私が抱っこをせがむのはこうやって額を付けたいからだということに気づいたらしく、時には自分から額の方に私に合わせてくる事がありました――、やはりこの額を通しての流れを感じているのは私の方だけらしいということに気づきました。
先にも言った、入り込んで来る母親の意識、思考、感情のうち、はっきり表に表れず断片的に流れてくる、私がなぜこういうことをするのか、あるいはもっと直接的に、私と額を付け合わせることに対する反応を毎日徐々に探っていった結果、
母親の方は、私が額を付けてくるのは単に愛情や甘えの表現としてそうしているのだとしか見ていないらしかったです。
それ以前に、私がベスにおでこを合わせていたのも母親はちょくちょく見かけていたらしく――一日中同じ家の中にいるから当然ですがな――、単に私がそういうことをするのが好きだと見ていたらしいことも読み取れました。
そういえば、夜家に帰ってきている父親に対し、「最近優太が(私の名前ですな)よく私のおでこにおでこを合わせてくるのよ」と話して来るのも耳に入ってきましたな。
そういう会話をしていることからも、母親の方にはこの動作について特に何の意味も感じていないらしいことがはっきりわかりました。
17名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)00:38:12 ID:EtH()
 父親の方にも試しました。休日前の夜、「お父さんと一緒に遊ぶか」と言って、まだスーツを脱ぎ捨てただけの仕事帰りの格好のまま私の体を持ち上げ、高い高いをした父親に対しておでこを付け合わせました。
母親と同じく、最初はちょっと驚いたようでしたが(母親は私のやはりそんな光景を見てちょっと笑っているらしかったです)、すぐに嬉しそうに笑うと母親の時より強く、笑いながらぐりぐりとおでこを押し付けてきました。
痛かったですが、あちらからも強く押し付けられた額を通して、やはり思考が流れ込んできました。
膨大な量です。数字や、言葉や、たまに見かけるがよくわからない外国の文字や(後にして考えてみるとアルファベッドでした)……。
それはもはや思考や意識といったものでなく、‘情報’といっていい類のもので、ほとんどが意味の分からないそれらが大量に、小さな私の頭の中に氾濫して、私はくらくらして頭がどうかなりそうでした。
訳の分からないばかりか、単純に入ってくるそれらの思考の量も母親とは比べものにならないぐらいに多かったですが、その代わり、母親に額を付け合わせるといつも真っ先に入ってくる暖かい感情というものはそれらに飲まれて最初ほとんど感じることができませんでした。
それでも入ってくる情報の氾濫にじっと耐えながら父親の心の中をじっと探っていると(その時までには母親相手に何度となく思考の流れを感じることを繰り返していましたから、大いに勝手が違うのに戸惑いながらも、
何とかそれらの情報の渦をある程度‘シャットダウン’――完全には無理ですが――してやり過ごして、望むものを少しは探ることが出来ました)
やはり暖かい感情の潮流を見つけ出し、感じることが出来ました。
ただ、母親のようにふわっと優しく包むようなものでなく、もっとこう、活発で楽しさも混じるものが直接頭に訴えかける感じで、どちらかというとベスから流れ込んで来る親愛の情
――そしてまた、あとにして思えば、友情といったものも混ざっていたと思います――に近いものがあると思いましたが、それでも親の我が子に対する愛情ははっきり感じ取れました。
ただ、母親と同じく、私が額を付けることに対する反応を探ってみても、この行為にほとんど意味を感じていないようで、私が額を離した(‘ぶつり’と情報が途切れた感じで、
やはり少し戸惑いがありましたが、訳の分からない記号や数字、言葉の氾濫から解放されて気が楽になった面が大きかったです)時の、少し不思議そうに私を見つめる笑い顔もそれを裏付けているようでした。
18名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)00:38:58 ID:EtH()
 それからも何度か父親に額を合わせましたが、やはり、流れてくる意識や思考の断片的なものを拾っていくうちに、父親の方も私が額を付ける意味を理解できない――また、私の思考を読み取ることができない――とはっきりわかりました。
ただ、父親に対してはこのことを確認するとそれ以上特に額を合わせることをしようと思いませんでした。
毎度大量に流れてくる意味の分からない情報――それは仕事に関わることで、私も社会人になってからわかりましたが、家に帰ってもなかなか完全に忘れ去るということはできないものですな。
それでも子供の私にとっては訳が分からず頭が痛いばかりでしたが――が疎ましかったのと、
母親の時に感じられるようなふわっとした――今だから言える言葉ですが母性愛の――優しく暖かい感じをあまり感じなかったこと、
――それに単純に小さな男の子として母親の方が好きだったからというのもありますな。
ともかくこうして、私は一家の四人――ベスを入れて――のうち、こうして額を通しての流れを感じることが出来るのは私だけだと確信しました。
19名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)00:39:38 ID:EtH()
 父親に対しては、額からの流れに関して無感覚なのを確認するとそれ以上特に額を合わせようとしませんでしたが、母親にはそれからも抱っこをねだって持ち上げてもらったり、
こちらに合わせてしゃがみ込んできた際に額を付け合わせることを繰り返していました。
 ある日、これから夕飯の支度に取りかかろうとしている母親に尋ねました。
「晩御飯なーにー?」
「すぐわかるからちょっと待っててね」
 その時私は閃きました。
「ねーねー、こっちこっちー」
 見上げて差し招く仕草をする私の方に母親が不思議そうに笑いながらしゃがみこんで来ると、私はぴったりとそのおでこに自分の額を当てました。
母親はいつもの私の仕草に仕方なさそうな顔をして微笑むと、私の首に手をかけて、自分からも付け合わせた額を押し当ててきました。
 さまざまな思考、感情が流れてきますが、今しがたのこともあり、目当てのものはすぐに見つかりました。私は額を離すとすぐそばにある母親の目を見つめながら言いました。
「コロッケー?」
 母親はちょっと驚いたようですが、すぐに微笑み直すと、
「そうよ」
と答えました。材料をあらかじめ盗み見して当てたとでも思ったんでしょうな。首にかけた手を離すと、私の頭を撫でて夕飯作りに戻り、それでその時は終わりました。
20名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)00:40:44 ID:EtH()
 それから私はこれが気に入って、毎日昼飯や晩御飯を当てるゲーム――とはいっても、私の力を母親が知り得ない以上、実際のところはあくまで私一人にとってのもの当てゲームでしたがな。
いかにも子供っぽくですが、せっかくの能力の使い道を見つけ出して嬉しく、内心一人ではしゃいでいた面があります――を繰り返しました。
当てるのはそれほど難しくありませんでした。なんせ今しがたその話題を上げた後でその内容について探るんですからな。
頭の――これは意識のということですが――表面にはっきり浮かび上がった形で漂っているのを拾うだけで、何度も繰り返して慣れてくると、額を付け合わせて一呼吸ぐらいでご飯の内容を当てることが出来るようになりました。
あまりに毎回当てるものですから母親は目を丸くして驚いてましたな。ただ、母親が買い物に出かける前はぼんやりしたり、いくつかの種類の候補が上がってくるぐらいで、はっきりわからない――当てられない――場合が多かったです。
私も大人になってからわかったことですが、その時々のスーパーで目に付いた物や安売りで御飯の内容を決めるということは割と普通のことで、だから買い物に出かける前は母親もはっきり決めかねているということだったようですな――
それでもたまに母親が事前に御飯内容を決めている場合は当てることが出来ましたが。
だからこそ、母親は私がいつも食事を当てるのは買ってきた食材を盗み見て当ててるんだろうと考えていたようです。買い物前にもたまに当てることに関してはまあ偶然だろうとでも思っていたんでしょう。
私が額を付けてくるのは、毎回の‘御飯当てゲーム’――もちろんこれは、母親と私で乗っ取っている‘ルール’が違う以上、通常のゲームたりえないわけですが、私の能力を知らない母親にとってはこれも子供の求める他愛ないゲームの一つという認識だったでしょう――
のついでに、いつもの私の好きな仕草で甘えたがっている程度に思っていたようです。
21シモン◆qECGVNv88M :2015/07/17(金)06:43:21 ID:dFE
>>1お疲れ様
帰ってからゆっくり読ませて頂きます!
22名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)19:00:56 ID:EtH()
>>21
ちょっと長いというかくどすぎるしなあ…
なろうの仕様でも読みにくいだろう
ざっと眺める程度でw
まだ投下分あるけどこれは完成させる時が来るのだらうか…
23名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)19:34:53 ID:EtH()
 そうやって毎日のように‘御飯当てゲーム’を繰り返していましたが、ある日の昼間、リビングでベスと遊んでいると、母親が心配そうな顔でキョロキョロと何かを探し回っている風で開け放しの部屋に入ってきました。
「どーしたのー?」
と訊いても、こちらの方を向いておざなりに笑って、
「ちょっと待ってね」
と言うだけで、またせわしなく何かを探す動きに戻りました。
 私は両腕で抱えたベスの毛を撫でていじりながらそんな母親の姿をしばらく眺めていましたが、やがてふと思いつきました。立ち上がって、動き回る母親の前に行って立つと、両腕を上に伸ばして見上げながら、
「抱っこして―」
とせがみました。
 母親は自分があからさまに忙しそうにしているのに、私がいつものおねだりをすることに驚いたようで、目を丸くして一瞬見下ろしたまま立ち止まりましたが、仕方なさそうに笑うと、しゃがみこんで私を抱え上げました。
 私が額を付けて、目を閉じてじっと探ると、やがてぼんやりと求めているものの映像が流れ込んでくる意識の内に現れてきました。私は目を開けて、額を離すと母親の目を見つめながら言いました。
「ネックレスならベスがソファーの下に隠してたよー」
 母親ははっとして私を抱えた腕を伸ばし、自分も首を引くことで私との顔の距離を取ると、驚いて丸くした目でまじまじと私の目を見つめました。
「どうしてわかったの?」
「お母さんの考えてることは僕はわかるよー」
24名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)19:35:29 ID:EtH()
 私がにっこり笑って言うと、母親の瞳孔がみるみる開き、目にはっきり怯えの色が現れました。
母親がそうやって怯えた目で凝視した瞬間――そこまで私は何も考えていませんでしたが、その時初めて私は何かしでかしてはいけないことをしてしまったらしいと気づきました――、
数センチ離れた母親の額からぶわっと、色にすれば青黒い何か煙のような感情の想念が飛んでき――それは私が初めて経験する、額を接触させていない状態から感じる相手の意識でした――、私の額を通過すると、寒気を伴う感覚で頭の中へと入り込んできました。
その感情ははっきり怯えと恐怖のものでした。
 ――
 ――あの瞬間のことは今でも忘れることが出来ません。恐らく、母親もその時初めて、私が今まで額をくっつけてきたことの意味を悟ったんでしょうな。
飛んで感じ取れたのは感情の想念がほとんどでしたが、かすかに――遠くから言葉が風に乗って届いて来るように、その怯えや恐怖の感情の風に乗ってかすかに――『怖い』『何この子』という、感情を伴った思考の言葉の断片が届いて来ました。
 母親はすぐ私を床に降ろすと、恐怖と怯えを伴った目でちらちらと私の方を見ながら部屋を立ち去って行きました。
私の言ったソファーも同じリビングにあるんですが、そちらのほうにはちょっと目を向けただけで、私を避けるように――また、ほとんど逃げるように――さっさと部屋を出ていきましたな。
私はベスと置いてけぼりにされてその立ち去る姿を見るしか出来なかったわけですが――ともかく、その時初めて私は、この能力が単に家族で私だけが持っているというだけでなく、何か――当時知らなかった言葉を使えば――異端的なものだと自覚させられたわけです。
――そう、額を通して相手の思考を読み取るこの能力がね。
25名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)19:36:05 ID:EtH()
 おや、コーヒーが切れたようですな。どれ、入れ直すとしますか――はは、そんなにのけぞらんといてくださいよ。私の額を通しての読心能力は遠くでも3~5センチまで近付かないと読み取れないんですから。よほど相手の顔に近付かないと読めないというわけです。
 ――そら、入れ直しましたよ。それとお茶請け――コーヒー請けですが――に餡子入りのパイ菓子を持ってきました。――さっきはちと慌ててたのと、農家の方の牛乳を味わってもらいたくて粗相をいたしました。
今度はミルクを持ってこなかったですがよろしかったですかな? なに、よろしい? よかった。やはり甘いものを一緒に食べるにはミルクも入れないブラックがいいですからな。
――どうです、美味しいでしょう。この小豆は私のところが作ったのではないですが、知り合いの農家が作った物でしてな。全国に出荷している質のいいものなんですが、それを駅前の和菓子屋――お見かけにならなかった? 
それは残念――が丁寧に餡に仕立て上げて使ってましてな。やはり市販の物とは違って甘みが上品で、舌触りも優しい感じですわ。
ちょっとした老舗店でしてな。私も街に出た時よく寄って、こうやってお客様にお出しするための他、自分でも食べる用に買うんですわ。
このパイの中に餡子を詰めたお菓子は割かし新しく、数十年前に出来たようですが、ほれ、北海道は明治期以降西欧化が早く、和洋折衷のものが多く生まれたり広まったりしたでしょう――洋食とか。
それでこういうものを受け入れる風土があるんでしょうな。結構あちこちで見られるようですが、中でもこれは特に評判がいいものですわ。
やはりパイ生地がサクサクと、餡がさらっとしてると食べやすく、対比も生まれて――なに? 話の続きを聞きたい? ――そうですな、失礼しました。私自身このお菓子が好きなものでついついしゃべりすぎてしまいましたわ。
――続きを話すとしましょうか。
26名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)19:37:05 ID:EtH()
 ――その時以来、私が母親に抱っこをせがんだりして額を合わせることはなくなりました。
とにかくネックレスの時以来、母親は私を怯えと警戒が入り混じったような目で見て、そばを通る時もあからさまに半円を描くように距離を取って歩き、その間怯えた目でじっと私を見ているんですからな。
瞳孔が開きっぱなしで、顔の筋肉は緊張して、異界の化け物に対して突き放す嫌悪を感じながらも、見つめざるを得ない。そんな感じでしたわ。
無邪気な子供だった私も、母親のその態度を見ては、もう自分が額を合わせることをねだってはいけないことぐらいはわかりました。
――ネックレスのことを言った直後の母親の反応――何センチも離れたところから飛んできた恐怖と咄嗟の本能的な嫌悪の感情の念――の印象もその時以来私の頭にこびりついていましたからな。
ともかく――なに? さっき3~5センチといったが、母親が顔を離したということは、その時はもっと離れていたのかですって? 
――そう、その通りですわ。私が具体的に思考や意識を読めるのはその範囲ですが、人間の本源的な感情――中でも恐怖や怒りといったものですな――はもっと遠くてもぶわっと飛んでくるのを感じることがあるんです。
ある程度指向性を強く持っていて、それが関係してるんでないかと思いますがな。これらは距離にして――真正面から――10数センチは届いて来ます。
私が本で読んだり、他人同士の反応を見る限り、あなたや、他の一般の方もある程度はそういうところがあるんではないですかな――なに、ある。そうでしょう。
無論私は、そういう一般の人達より受容する力が強く、はるかに具体的に内容を感じとれるようですが、人間やはりそういう本源的な感情に関わることはまだまだある程度受容器官が残っているようですな。
無論、愛とか恋愛感情についてもそうですが、やはり自己保存本能が先に立つのか、恐怖や怒り――また、そういうところに立脚した嫌悪――がはるかにはっきりと強く感じられますな。ユングの言う――なに、ユングはよく知っている。
さすがですな――多層意識の最深部に近いところがあるのでしょうな。
27名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)19:38:09 ID:EtH()
 ――どこまで話しましたかな。――そう、それと――、母親と額を合わせることはなくなりましたが、母親が私のことを気味悪がっているのは父親との会話でもわかりました。
私がリビングでベスと遊んでいると、台所のテーブルに着いて、父親に何やら私のことを話しているんですな。我が子に対する愛情から私の身を案じるのと、純粋に異変に対する怯えの両方の感情が入り混じった心配そうな話しぶりでした。
小声だし、大人同士の会話なので興味を持たれず、私には気付かれないとでも思っていたんでしょうな。
私の心を読み取る能力のことを話したようですが、父親は一笑に付すだけでした。
内容の突飛なこともですが――その時の二人の話しぶりから、やはり私の能力が普通の人にとっては特別、というより異常なものなのだということがわかりました――、父親自身は数回しか私に額を付けられていないからそのことに対する印象が希薄だったんでしょうな。
――私が原因とはいえ、このことに関しては話をまともに聞いてもらえない母親に同情と共感をしました――実際、一日中家に一緒にいて、毎日額を付けることをせがまれていたわけですからな。父親とは実感が違うわけですわ――。
ともかく、母親にネックレスのことを話した時の反応と、二人の会話を盗み聞いたことで、私は母親に限らずもう額を付け合わせることをやめました――と、いってもあとは父親とベスの二人ぐらいのものでしたがな。
ベスは相も変わらず無邪気に、時々保護者っぽくもある友達の態度で私に接してきてくれましたが――父親以上に能力のことなど知り得ないのですから当たり前ですが。
仮に知ったとしても、裏のない動物の心ならまた変わってきたでしょうな――、私は彼に額を付けることもやめました。
ベスになら以前と同じ暖かい親愛の感情を期待できるとわかっていましたが、両親の能力に対する反応――母親から話を聞かされた父親がありえないと一笑に付する態度も含めて――を知って、自分のこの力が疎ましくなったのがあります。
――しかし後にして思えばベスとはもっと額を合わせて心を通じ合わせておく――私にとってだけですが――べきでしたな。
私が小学校高学年に上がったころに亡くなったんですが、今までの人生で、散々ドロドロした人間の感情や意識を読み取ってきた身としては、無邪気な親愛の感情を素朴に伝えてくれる彼の存在がどれだけありがたいものだったかよくわかります。
――東京からここに越してからも犬を――マルチーズですが――飼い始めたんですが、去年病気で亡くなりました。これも可愛いものでしたな。ともかく、まだ自分も周りを疑うことの少ない幼少時にベスの暖かい感情ともっと触れておくべきだったと思います。
28名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)19:43:30 ID:EtH()
 やがて小学校に上がりましたが、そこで多くの生徒に触れ、友達も出来たにもかかわらず、額を合わせて他の生徒の心を読むことはしませんでした。
小学校に上がる前から、母親の反応で自分の能力の異常さを自覚し、こんな自分に対するいくぶんの嫌悪まで抱いて、家族に対して使うのを控えているうちに、徐々に能力に対する意識が薄れ、興味を無くしていった他、
単純に、それまで保育園にも幼稚園にも行かず、同年代の子と遊ぶのはごくまれだった私に、いきなりたくさんの友達が出来て遊ぶのが楽しく、そちらに夢中だったのがありますな。
時には遊んでいる最中に他の子どもたちの顔が間近まで近付き、反射的に首をのけぞらせて顔を遠ざけたり、顔を背けたりしましたが――
この能力が何か厭わしいものだという意識は残っており、母親の時のように、何かの拍子で相手からの好意を失うことになるのではないかと怖かったです――、
ほとんどは夢中で遊んでいるうちに、もうすっかり能力のことがきれいさっぱり頭から抜け落ち、忘れているのがほとんどでした。
母親も少し長い間私の方を怯えた目で見ていましたが、私が額を付けるのをねだらなくなり、小学校に上がってからは学校や外、近くの友達の家で思い切り遊び、体を使い切った上気を伴う満足感の疲労で、
家に帰った後笑顔で元気いっぱいに母親にその日の友達との遊びを報告するといった生活を繰り返すうちに、
母親の方も徐々に以前のことは忘れ、自然に出る笑顔で私の方に接し、顔を近づけることにも――とはいってもやはりほんの微かな‘間’は常にありましたが――抵抗を無くしていったようでした
――もちろん、そういう時はこちらからも必要以上に顔を近づけて相手に刺激を与えることはしないように気を付けていましたがな。
以前のことを完全に忘れたはずもありませんが、内向的な子供の幼少時に時に見られる特殊な才能の類で、小学校に通って他の児童たちと活発に触れているうちに無くなったとでも解釈したのかもしれません。
29名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)19:44:18 ID:EtH()
 とはいっても、毎日学校内外でたくさんの生徒や友達と触れるわけですから、否が応でも自分の能力を自覚させられる――どころか新たな発見すらありました。
中でも、体育の授業後、教室に戻って着替えている時、皆で上気しながらがやがやしていると、その空気に乗ってピリピリと、時には何メートルも先から思考が飛んでくるんですな。
『さっきのドッジ・ボール、○○が上手く球を受けたな』『あいつ転んで泣いてたけど(まあ小学校低学年の話ですからな)、まだ保健室から帰ってこないのかな』とかそんな感じですわ。
このことはもちろん、大人になってもずっと続いたわけですが(高校を出ると、体育の授業がなくなって運動をする機会が減る分、そういう経験をすることはほとんどなくなりましたが)、
あれですな、やはり運動は人間の思考や精神にとって大事――というか特別なものなんだと思いますわ。
この現象は私と他の人間両方が運動して、ある程度落ち着いた時に現れるんですが、活発に運動して息を切らせたり、汗をたくさん流して自律神経系を刺激するとともに、
前頭野――体を動かす中枢は前頭野にありますから――や、脊髄反射を強く働かせることが関係ある――潜在能力が発揮される――んじゃないかと思いますわ。
ほれ、武道の達人――私は武道はしませんがな――、――合気道の達人の植芝盛平とかいう人がお弟子さんの心を読んだとかいう話があるでしょう。
あれなんかは普段から体を使いまくることで、何らかの形でそういう超能力が現れたのではないかと思いますが、私のその現象もその人のものと通じ合うところはあると思いますわ
(あと、あの人の頭が禿げ上がっているのも、髪の毛の邪魔が無い分、周囲からの受信をしやすくしているのかもしれませんな――私はそこまで試す気はしませんでしたが。東西の僧が剃髪してるのもそれと関係あるのかもしれませんが、これはまた別の話ですな)。
30名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)19:44:51 ID:EtH()
 あと、朝の登校時――小学校だから集団登校ですが――や、教室に着いて朝礼が始まる前の、友達同士朝の挨拶やふざけ合ったやり取りをして過ごす騒がしい時間にも、やはりピリピリと同じように思考が飛んでくることがありました。
これも起きた直後に行動を起こすことで自律神経が強く働くことと、脳が徐々に目覚めていく感覚が関係ある他、朝の通学、出勤時間帯特有の、社会の人間皆の共有する、
これから他の人間と交わって共同活動を起こしていこうとする意識が何らかの指向性を持って外に飛び出るのではないかと思います。
31名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)19:46:02 ID:EtH()
 ――そういう‘発見’はあったものの、やはり自分から積極的に能力を使うことは無く、そのまま4年生に上がったんですが
――ちょうどそのくらいの時、ベスが亡くなりました。年を取って腎臓を悪くしてのことですが、単純に悲しかったですな。幼い時以来、再び額を合わせて暖かい感覚を味わうことはありませんでしたが、普通に家族として、友達として大切な存在でした――、
ある日の夜、リビングでテレビを見ていると、とある番組で超能力特集をやっているのを見て、再び自分の能力に興味が湧きました。
その番組は読心――テレパシー――能力は扱っていませんでしたが、海外の念力やパイロキネシス――発火能力ですな――事例が紹介されていて(子供心に、自然発火する少女の話は怖かったですわ)、
番組のスタジオには伏せたカードを当てる透視能力者や、占いで未来を当てるというおばさんなんかが出てましたな。
それと超能力とは関係ないですが、神隠しといったオカルトや超常現象の類を少々。
今にして思えば――実際こんな能力を持つ私が言うのもなんですが――どの程度本当で、どの程度やらせやトリックだったのかはわかりませんが、初めて実際に自分と同じような能力者を見聞きすることで、
私は興奮しました(それまでにも漫画で超能力の類を扱っているのは見ましたが、実際の事例に触れた内容のものはその時までに読まなかったし、それにやはり漫画では少し割り切って読んでましたな)。
その時母親がそばにいなかったのは幸いでしたが――私が食い入るように超能力番組を見ているところを見たら、私が小学校に上がる前のことを思い出して、また怯えや警戒を出し始めるのは確実でしたからな――。
中でも魅せられたのが、そこでは超能力は単なる嫌悪の対象でなく、何か畏怖するべき存在(それでも、異質なものを感じ取って戸惑う感はスタジオの出演者や、ギャラリーにありましたが)として扱われていることで、
小学校高学年にもなると、それこそ何も考えずに夢中で遊んで過ごした低学年と違い、自我や自意識も出始め、ぽつぽつ自分のことを顧み始める頃ですから――それでも、この能力に絡んだことで私は少し内面的に早熟だったとは思いますが――、
ちょうど改めて自分の能力と向き合ってみようという気になったのです。
32名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)19:46:27 ID:EtH()
 初めはそれまであまり使うこともなく貯めていたお小遣いのお金で近所の本屋に行き、特にテレパシー関連の超能力の本を買って読んでみました。
具体的には、私のようなはっきりした形でテレパシー能力を持った人はあまり載っておらず、夫婦で同じ夢を見たとか、すれ違った瞬間頭に何かを感じた男女が生き別れの兄妹だったとかの事例紹介が多かったですが、
昔の海外の、顔を向き合わせた状態から心を読むという人の話は読んでいて興奮しましたな。私と同じ、額を受信器にしていたのではないかと考えたものですわ。あと、さっき言った植芝盛平の話なんかもそういう本で得た知識ですな。
買った本は自分の部屋のベッドの下や本棚の裏などに隠しておきました。もし私が再びこういうものに興味を持っていると母親に知れたらおおごとですからな。
33名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)19:46:57 ID:EtH()
 ――そうやって読んで知識を蓄えましたが、また同時に本で知る様々な現実の事例――これも先のテレビ番組と同じく、そうでないのが混じっていたかもしれませんが、現実に私自身テレパシー能力を持っていますからな。
基本的にほとんど信じ込みましたわ――に共感を覚えたり、自分が特別なことを改めて自覚させられて力付けられると、どうしても再び実際に自分の能力を使って試したいという気持ちになりました。
――しかし、再び家族――今ではベスがいなくなり、両親だけになりましたが――に使うことはあり得ませんし、学校の生徒――主に同級生――相手に試そうにも、
いくら仲が良く、また子供同士といっても、家族と違って、馴れ馴れしく額を付け合わせることなどできません。
どうしようかと考えていると、ふと、私が再び自分の能力を見つめ直すきっかけとなったあの超能力番組に出ていた、予知能力者と称する占いの女性――おばさん――のことを思い出しました。
34名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)19:47:38 ID:EtH()
 そのおばさんはタロットと水晶玉を使っての占いをしていましたが、私もそういう道具を用い、占いと称してもっともらしく額を相手に付ける口実にしようかと思ったのです。
いつも行く本屋でカード付きのタロット占いの本があったのを以前から目にしていたので、早速買うこととしました
(その店の店長やアルバイトらしき店員ともお互い顔を覚えましたが、いつも超能力関連の本を買う小学生についてどう思っていたでしょうな。考えると少し微笑ましくなりますわ)。
――こうやってタロット占いの本を買うことについては、素朴に、私自身その番組や超能力の本を見て占いや予知能力に興味を惹かれた面もあったのですが、
この分野に関してはよくわからずじまい――実際にそういうことが出来るのか――でしたな。まあこれはこの話の本題とは関係ないのですが。
35名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)19:48:15 ID:EtH()
 とりあえず、買ってきた本とカードで占いの方法を練習して大雑把に解釈方法などを覚えると
(その本を読んで初めて、タロットには大アルカナの22枚と小アルカナの56枚があることを知り、その本には大アルカナの22枚しか付いていませんでしたが、
カードが付いているにしては安い本でしたし――1500円ほど――、あまり気にしないことにしました。
もちろん、自分の能力を試す口実のための副次的なものとはいえ、どうせなら全部揃っている方が良かったですがな)、
さっそく学校で仲の良かった友達に試してみる――実際は私の読心能力をですが――ことにしました。
36名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)19:48:41 ID:EtH()
 学校の休み時間に友達の席に行き、空いた前の席の椅子を後ろ向きに使って座り、友達の机の上にタロットを置いて、
「これからお前のことを占ってみる」
と言うと、友人は驚いたようですが(当然です。私は今まで友達と体を使って動き回ったり、トランプや将棋などのゲームで遊んだりしましたが
――当時まだ子供が手軽にやるようなテレビゲームはありませんでした――、こういう内面的なものへの興味は少しも示していませんでしたから――まあ、実際それまでは普通の遊びに夢中だったんですがな)、すぐに興味を持ったらしく、
「うっそ。お前占い出来るの!? 占ってみてくれ」
と、食い付いて来ました。私がもっともらしく置いたタロットに興味津々なのも明らかでした――実際、小学四年生でタロットカードを持っているなどいくらもいないでしょうからな。
 とりあえず私は、
「何を占ってほしいですか?」
と、占い師らしい口調で訊いてみました。
 それを聞くと友人はちょっと考え込んだようですが、
「日曜のサッカーの試合について」
と答えました。――彼が地域の少年サッカー団に所属しているのは私も知っていました。
37名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)19:49:23 ID:EtH()
 私がカードを手に持ってシャッフルしだすと、元々初めから周りにいた私たち二人共通の仲のいい友人の他、物珍しさから離れたところにいた同じクラスの友人や同級生が寄って来、
タロット占いというところに惹かれたのか、普段あまり話さない女子たちも集まって、やや遠巻きにですが我々の方を見てきましたな。
 私が家で勉強して練習した型通りに、机の上に置いたタロットカードの山――タロットデッキ――を右手で扇形に広げると、私は考えていた通りに、
「ではここで、目を閉じて、額をカードに近付けて、念をカードに送り込んでください」
と言いました。
 これは私が付け合わせやすいように相手の額を前に出させる方便で、実際にそんなことをしろなどとは――念を込めながら、込めた人がシャッフルするというのは載っていましたが――読んだ本に書いてなかったわけですが、いかにももっともらしく考え付いた方法で、
うまくそれに素直に従った友人が目を閉じて、座ったまま前屈み気味になり、首を俯けると、都合よくちょうど額が私の顔の正面を向いて突き出されることになりました。
「ではこれから占います」
と言うと、小さな机から落とさないようにチラと位置関係を確認した後、私も目を閉じてタロットを両手で机の上に広げてかき混ぜ始めながら――前屈みになってこつんと額を友人の額に付け合わせました。
 相手はあからさまに驚いたようでしたが、私は「そのまま念を送り続けてください」と、これもあらかじめ考えていたもっともらしい言葉で動かないようにさせ、周囲の驚いたらしい反応も無視してそのままタロットを両手でかき混ぜ続けました。
38名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)19:50:09 ID:EtH()
 小学校に上がる前以来ですからもう5年程振りでしょうか――私は再び他人に――しかも家族ですらない相手に――額を付けることへの緊張と警戒に身を固くしながら
――それでもその間机からカードを落とさないように気を付けて、外面的には一生懸命平静を装いながらタロットを両手でかき混ぜました――友人に額を付け合わせました。
 ――内心恐る恐る額を付けたのですが、意外や、入ってきた思考、意識は私にとって違和感のある、驚く感覚の強いものではありませんでした。
初めに、私が額を付けた瞬間、相手のびくっとした動きと共に、突発的な驚きの感情
(というか反応の感情というか。極めて短い瞬間のものでした)がすごい勢いで駆け抜けていった後、『何してるんだこいつ』『本当に当たるのか』といった思考の言葉――独白――がこれもまた額を通して素早く私の頭に入り込んできました。
私は、これ――額を付け合わせる行為――もタロット占いの一環であるかのように平静を装って、
先に言った通り、「念を送り続けてください」と言って相手の驚きの感情・反応と、(額を離す)動きを抑えると、こぼさないように慎重にタロットをかき混ぜながら、本来の目的通りの思考を読み取ることに集中しました。
39名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)19:51:05 ID:EtH()
 ――さっき言った通り、実に5年ぶり、しかも家族以外の者と初めて額を合わせるにも関わらず、私にとって、友人の額を通して入ってくる思考、感情は違和感の強いものではない
――初めに額を付けた時驚きの感情と共に入って来た意識の雰囲気というか色合いというかは、――ベスは別として――むしろ両親よりしっくりくるものでした。
警戒して額を付けた私にはかえって拍子抜けでしたが、思えば、同年代の同性という極めて近い立場はこれが初めてですし、
何といっても高学年といえるかいえないかくらいの(9~10歳の)小学生男子の考えることなんて単純で皆同じようなものですからな。
遊ぶことと体動かすこと(まあこれも遊びの中ですることが多いですが)――時々極端に内向的な子がいるにしても大体こんなものですわ。この年齢では恋愛にもさほど興味を示しませんからな。
――こう、カッと乾いた熱性の風が来る感じで――いうなればそう――サバンナの風と空気とでもいいますかな――、
遊びと体を動かすことが興味のほとんどを占めており、
友達関係――現に今額を付け合わせている私と彼の友情関係――も大部分そのことでつながっているわけで、私に対する親愛というか、友情の念もその乾いた熱い空気の中に自然に紛れ込んでおり、かえってわかりやすかったですわ。
加えて彼は、さっき言った少年サッカー団にも参加しているスポーツ少年で、なおのことそういう傾向が強かったですな。
40名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)19:51:29 ID:EtH()
――あと、さほど違和感を感じなかった理由に、先ほど言った体育後や、朝方のピリピリ飛んでくる思考をしばしば受けていたことにより、
同じ生徒、友達同士の立場として、今回入って来た思考や意識の色合いにあらかじめ慣らされていたのもあるでしょうな。
41名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)19:51:53 ID:EtH()
 そのように、5年振りに他人に額を付けて入って来た初めの思考、意識の印象は意外にもすんなり受け入れられるものでしたものでしたが――
さて、肝心のサッカーのことに関しては、当然私には思考や意識を読むことは出来ても、未来を予知することは出来ないわけですから、そこらへんは方便として利用したタロットの占いを素直に読んで、適当にごまかすしかないと考えていました。
しかし、せっかくですから、ある程度相手からサッカーに関する思考を読み取ってみようという思いもまたありました。
さすがに、サッカーの試合について占うと言ったのに、それについて――たとえろくに出来ることは無いにせよ――何もしないのは気が引けましたからな――私の中のちょっとした誠実な面といえましょうか。
――そうすることで、占うと言った自分の内心の折り合いを付けるとともに、ひょっとしたら、そうやって読み取った内容が占いや判断の助けになるかもしれないという思いもありました。
42名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)19:53:16 ID:EtH()
 ――そうやって、サッカーに関する思考を読み取ろうとしたのですが――私が相手の驚きの気持ちを抑えるために「念を送り続けてください」と言うと、
一呼吸スース―風通しのいい薄い‘流れ’が来た直後、一気にブワッと大量のサッカーに対する意識、思考が額から流れ込んできました。
私は仰天したんですが、相手にしてみれば、素直にサッカーのことを考えたんですな。おまけに‘念を送れ’と言ったわけですから、
相手に私のようなテレパシー能力の認識がないとはいえ、こうなるのは当たり前だったわけで――まあ、素直に従ってくれるいい友人で、‘占い’相手だったということですな。
――それはもう、すごい意識の量で、サッカーボールが体に当たった感覚や、ボールを追ってグラウンドを走っている時の息の切らし方にグラウンドの土埃の臭い
(当時はサッカーブームでもないですからな。芝生でなく土のグラウンドを借りての練習や試合のようでした)、
周りのプレーヤーの掛け声、うまくシュートがゴールに入った時の快感まで――触覚、視覚、嗅覚、聴覚、運動感覚に
サッカーにまつわる感情の動きまでいちどきに大量に入ってき――一番厄介だったのは、運動感覚で、サッカープレイしている時の体を動かしている意識の再現でしたな。
私も体育の授業や、休み時間、放課後にその友人も合わせて大勢でよくサッカーで遊びましたが、やはり、普段からかけ離れて上手い彼のプレイを意識の中とはいえ再現されると、
彼ほど深くサッカーに入り込んでおらず不慣れな上、私にはついていけないプレイ――体の動き――意識の流入に、私の脚や腰が思わずむずむずと動きそうになるぐらいでした。
――これはある意味、小学校に上がる前に父親の額から読み取った仕事の意識――情報――が入って来た時の戸惑いと似ており、
友人の方は趣味とはいえ、それだけ一生懸命だったんでしょうな。普段は他愛もなく遊んでいるだけでしたが、そういう面をこのことで感じ、ちょっと感心した記憶がありますわ。
43名無しさん@おーぷん :2015/07/17(金)19:54:32 ID:EtH()
半年前に書いたのがここまで
その後PCぶっ壊れて、最近までネットから離れ、今は天使と妖精を書いているのだ・・・
http://ncode.syosetu.com/n4910ct/
44シモン◆qECGVNv88M :2015/07/18(土)20:52:59 ID:Bt6
純文学ですね(^_^)
さて、ここからどうなる?
45名無しさん@おーぷん :2015/07/18(土)22:30:10 ID:w8r()
>>44
完成させるにしてもまだまだでせう…
純文学というほど大したものでもないけど
46スパーダモン■忍法帖【Lv=4,マクロべータ,WmG】 :2018/01/27(土)02:58:53 ID:7Tv

















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